かなり前に、こんな質問を頂きました。
ABS有のムーヴやタント(l150、l350)にABS無しのアクスルを流用することは可能でしょうか?
ここに対する答えは【YES】ですが、色々と手間が増えます…
そこで、この記事では具体的にどんな手間なのか?またABS有の車体にABS無しのアクスルを付ける方法についてお話ししていきます。
※アクスル単体だけでは、流用不可なので必要な部品についても詳しくお伝えしていきます。
【l150】ABS有無のアクスル比較
l150やl350(タントやムーヴ)のアクスルはABS有無でドラムブレーキ部分の構造が異なります。
それぞれ、写真を見れば一目瞭然かと思います。
■ABS有
■ABS無し
手っ取り早い見分け方としては、センターナットがあるか否かです。
オークション等でアクスルを購入する際のポイントになると思います。
- センターナット有 ABS無し
- センターナット無 ABS有り
- 左側 ABS有り
- 右側 ABS無し
しっかりと適合するアクスルに交換する場合は、アクスルのみ入れ替えれば良いのですが、ABS有無を混ぜる場合は、ブレーキ回りをアッセンで交換する必要があります。
流用する際に必要なモノ
ABS有りの車体に、ABS無しのアクスルを流用する際は、アクスル本体の他に以下の部品が必要です。
- サイドブレーキのワイヤー
- ドラムブレーキ
- ドラムカバー
ちなみに、ABS無しの車体にABS有りのアクスルを流用する際も用意するべきパーツは同じです。
この年式のダイハツ車は、ドラムアッセンでアクスルを出品してくれている場合も多かったりします。
ABS無しのアクスルを流用する方法
基本的なアクスルやブレーキ周りの脱着については、それぞれの記事をご覧下さい。
▪️ABS有り
▪️ABS無し
ここからが、アクスル本体が外れた状態以降の作業内容です。
- サイドブレーキワイヤーを外す
- ブレーキ配管を外す
- 両方を元に戻してブレーキのエア抜き
アクスルの脱着に加わる作業はこの3つです。
※3つだけなんだけど、地味に面倒です。
サイドブレーキワイヤーを外す
まず始めに、サイドブレーキのワイヤーを外します。
室内側の固定箇所は、運転席と助手席のちょうど真ん中にあります。
この車はもう捨てるだけなので、フロアカーペットを切断して【こんにちは】しました。
下の方にあるプレートが四角にナットで固定されています。※カーペットをめくるとこのプレートが見えます。
カーペットを切断しないためには、運転席の座席を外してフロアカーペットをここまでめくればOKです。
そしたらここのタイコ部分をステーより外します。ドラムブレーキ側のワイヤーをフリーにしておけば比較的簡単に外れます。
ここが外せたら、室内の作業は完了です。
そして、次は車の真下に移動して作業です。
ちょうど先ほどワイヤーを外した裏側を見ると、ボルト1本ずつでフロアに固定されています。
ここを起点にワイヤーを固定するボルトを全て(片側4.5本ずつぐらいかな?)外します。
サイドブレーキを固定するボルトの頭は全て、10ミリです。
左右1箇所ずつだったかな?別の配管を固定するクリップがあるのでそちらも外します。
全て外すと、サイドブレーキのワイヤーが宙ぶらりんになります。
ブレーキ配管を外す
最後に、ドラムブレーキから出ているブレーキ配管を切り離せば、ドラムブレーキが丸ごと外せます。
ここを緩める際は、17ミリと10ミリのメガネレンチを使用します。
ここを外すと、当然ブレーキフルードが出てきますので注意で。※思っているより出てこないけど。
ブレーキフルードは、車体の塗装をダメにするのでそこだけは、頭の片隅に入れておいたほうが良いと思います。
ここに関しては、ステーを切断せずにアクスル交換をする方にとっては、余分な手間にはなりませんね。
両方を元に戻してブレーキのエア抜き
後は逆の手順でドラムブレーキの配管、サイドブレーキのワイヤーを取り付け直せばOKです。
※ちなみに、サイドブレーキのワイヤーはポン付け可能ですので、ABS無し用のドラムをアッセンで付け替えるだけです。
全て元に戻せたら、ブレーキフルードのエア抜きを忘れずに。
※ブレーキのエア抜きをする際は、左右のドラムカバーを付けた状態で。これをうっかり忘れると、ブレーキフルードが飛び出ます…。理由は割愛しますがどうしても気になる方はやってみるとよく分かるよ。
ワンウェイバルブがあれば、1人で作業可能です。
この際なので、ブレーキフルードの交換をセットでやっちゃっても良いかと思います。
ちなみに、フルードを交換しないにせよ、ブレーキフルードは必要ですので事前に用意しておきましょう。
まとめ
ABS有の車体にABS無しのアクスルを流用する際は、アクスル以外にドラムブレーキをアッセンで用意して丸々入れ替えば流用可能です。
- ドラムブレーキ
- ドラムカバー
- サイドブレーキワイヤー
※アクスルの他にこれらが必要です。
注意点を挙げるなら、ABSのカプラーが挿せなくなりますので警告灯が点灯します。
- ABSの警告灯
- サイドブレーキの警告灯
あと、当たり前だけどもABSも作動しなくなります。
最後に個人的な意見ですが、あまり流用するメリットはありません。
僕が仕方なく、流用している理由は安いプラスアルファー70ミリの上げ幅があるためです。
ダイハツ車の70ミリ上げ加工されたアクスルは、なかなかレアモノだったりします。
それでは。
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