モンキーのボアアップキットを先日、組み付けたのですが、ピストンリングの向き(合口)を無視して組み付けてしまいました…。これは、再度バラしてピストンリングの合口を120度づつズラして組み直しするべきでしょうか?
先日、このような相談を受けました。
そこでこの記事では、ピストンリングの向き(合口)を無視して組み付けるとどうなるのか?というテーマでお話ししていきます。結論を先にお伝えしておくと、そこまでシビアに考えなくても大丈夫。なケースがほとんどです。
ピストンリングの合口を無視して組み付けると?
ピストンリングの合口を無視して組み付けてしまい、万が一リングの合口(切れている部分)が綺麗に揃ってしまうと、そこから圧縮が漏れてしまいます。
また、圧縮が漏れるということは、エンジンオイルも燃焼室に入り込みます。
※オイル上がりという症状ですね。
ただし、組み付け時にピストンリングの合口を綺麗にズラしておけば、絶対揃うことはないとも言い切れず、またその逆も然り。つまり、合口が揃った状態で組み付けてもズレる可能性は十分にあるということです。
ピストンリングは回転するから言うほどシビアではない
ピストンリングの組み付け時には、ピストンリングの合口は均一にバラして組み付けるのが基本ですが、エンジン始動の中において、ピストンリングは回転するため、120度づつズラしてピストンリングを組み付けたとて、その距離感は一定を保ちません。
これはモンキーのピストンに限らずです。
回転するといっても、ぐるぐる回っているわけではなく、少しづつズレるように回るイメージです。
つまるところ、合口を綺麗に120度づつズラして組んでも、エンジンを掛ける中でその間隔はズレているということです。均一に回ってくれたら、間隔をキープしてくれるんですけどね。そう上手くはいきません。
実際に、ピストンを組み付ける際に120度づつズラして組んだエンジンも、何度かエンジンをかけて走行し、その後にエンジンをバラしてみると、ピストンリングの位置は組み付け時の間隔とは異なる場所にリングの合口が来ている状態です。
あくまでも、ピストンリングの合口を120度づつズラして組み付ける理由は、ピストンリングが回転した時に、最も合口同士が同じ位置に来ない可能性が高くなるよう組み付け時に間隔を取っているに過ぎません。
まとめ
ピストンを組み付ける際に、ピストンリングの合口を120度づつズラして組み付けるのが基本ではありますが、ピストンの上下運動の中で、少しづつピストンリングは回転していますので、そこまで神経質にならなくても問題ありません。
もちろん、リングの合口が全て揃ってしまうと、そこから圧縮が漏れ、エンジンオイルが漏れ、負の連鎖になることは間違いないのですが…。
あくまでも、合口がピッタリ重なってしまうリスクが最も少なくなる距離感ということで、120度づつズラすのが基本であり、メーカー側もそれを指定しているだけに過ぎません。
つまるところ、指定通り120度ズラしたとて、ピストンリングの合口が重なってしまう可能性もゼロではない。ということです。
そんなこんなで、ピストンリングの合口をズラして組み付けることを後から知ったとしても、わざわざバラして組み直しするほどでもないかと思います。自分なら組み直しませんね。
それでは。
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