車高調の取り付けに伴い、『異音』に悩まさせる方は少なくありません。
車高調は純正ショックと比べ、固定しないといけない箇所(調整箇所)が複数あるため、取り付けミスによる異音発生も決して珍しいものではありません。
異音が発生しても焦る必要はありません。1つずつ原因になりうる箇所をしらみ潰しにチェックしていけば異音箇所の特定と対策に繋がります。とは言うものの全く見当が付かないという人も…
そこでこの記事では、車高調から異音が出る5つの原因についてお話していきます。
■異音の内容
- 『ゴトゴト』
- 『コトコト』
- 『コンコン』
- 『ゴンゴン』など
車高調から異音が出る5つの原因
- 車高調の取り付けボルト
- 車高調のトップナット
- アッパーマウント
- ナックルの固定ボルト
- ロックシートの緩み
車高調から発生する異音は、本来締まっていなければならないボルト類の緩みが原因になっている場合が非常に多いです。
もちろん、すべての異音がボルトの緩みにある!と言うわけではありませんが…。
まずはこの5つの原因を調べていくのが手っ取り早いです。
ストラットタワーの取り付け
車高調と車体を固定するコチラのナットです。
軽自動車は2本、普通車は3本で固定されているのが一般的になります。最近の軽自動車は1本止めだったりします。
ここのナットが緩んでいると路面からの衝撃を受けた際に、車高調とストラットタワー(車体)との隙間が開いてしまう為、異音が出るケースが多いです。
適切に取り付けられていれば、ストラットタワーと車高調のアッパーマウント部分は常に接地しています。
しかし、ナットが緩んでしまっている事で、ここにガタがあればストラットタワー側に大きな負荷を掛けてしまうことになり、ストラットタワーが変形してしまったり、最悪の場合ストラットタワーが崩壊してしまう(車高調が突き抜ける)ケースも稀にあります。
ここはボンネットを開けるだけで簡単に確認できるポイントなのですぐに確認してみて下さいね。
車高調のトップナット
車高調のトップナットは車高調の天辺に取り付けられているM12〜M14程度の少し大きめのナットです。
コチラのナット、はショックアブソーバーとアッパーマウントを固定している大切なナットになります。
トップナットが緩んでいる場合も、先程のナットと同様に、段差でショックが伸び縮みした際に車高調が浮いてしまう時間が出来る為、【ゴンゴン】異音が出てしまいます。
ここのナットは、強めのトルクによって閉められている為、通常は緩むことはほぼ無いと言っても過言ではありません。
主に車高調のバネを変更する場合に緩める場所です。もし、異音が発生する前にバネの交換などを行なっているのであれば、ちゃんと締まっていなかったケースも考えられます。
ここのナットは普通に閉めようとしても、車高調のシャフト(ネジ山がある場所)が供回りしてしまう為上手く閉められません。
トップナットを締める際は、インパクレンチを使って締め込むか、写真のようにシャフトにヘキサゴンレンチが掛けられますので、ヘキサゴンレンチとスパナやメガネレンチの両方を駆使して締め込みます。
もっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご確認下さい。
アッパーマウント
アッパーマウント周辺のボルトが緩んで異音が出るケースもありますが、アッパーマウントそのものが異音の原因になっているケースもあります。
- ピロボール
- ゴムブッシュ
アッパーマウントに使用されているこれらの部品が劣化して、ダメになっていることで走行時の異音に繋がります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ナックルの固定部
車高調とナックルを固定しているボルトが緩んでいると異音の原因に繋がります。
ここが緩んでしまっているとタイヤに直結しているナックルが走行中に遊んでしまうため、異音が出るだけではなく、ステアリング操作にも大きな影響を与えかねません。
特にキャンバーボルトを取り付けている方なら尚更、ボルトの緩み時に大きな異音が発生する場合があります。(車高調とナックルの隙間が大きい為)
セダン車によく見られるダブルウィッシュボーン式の足回りの場合は、車高調がナックルに取り付けられているわけではありません。
この場合はロアアームに車高調が固定さていますので、そちらのボルトを確認してみて下さい。M12ぐらいのボルトが1本で固定されていると思います。
※画像はクラウンのフロント
ロックシートの緩み
車高調のロアブラケットを固定しているロックシートが緩んでいると段差を越える際などに異音が発生する場合があります。
車高調のカートリッジ部分に作られたネジ山にロアブラケットが入り込み、ロックシートによって固定されています。
ロックシートが緩んでしまっている場合、カートリッジとロアブラケットにガタがある為異音が発生します。
特に、FF車のストラットサスペンションの場合、ハンドルを切るたびに車高調が合わせて回転する為緩みやすかったりします。
これは筆者の感覚的問題かもしれませんが、ロックシートが緩んでしまったことがある車は全てFF車のフロント車高調です。
ロックシートが頻繁に緩んでしまう場合は、対策部品がありますので、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
ボルト類の緩み以外の原因
先程お伝えした異音の原因は、ボルトやロックシートの緩みでしたが、それ以外の異音に繋がる原因も解説します。
- ショックの底付き(バンプタッチ)
- ショックの伸びきり
- ドラシャの干渉
- バネからの異音
ショックの底付き(バンプタッチ)
ショックアブソーバーには沈み込める限界があります。
バネを遊ばせていたり、あまりにも低いバネレート(標準以下)を使っていると、大きな段差を越える瞬間や、速度が出ている高速道路を走行中などにショックアブソーバーが底付きしてしまい、異音が出ることがあります。
底付き防止のために、車高調にはバンプストップと言うゴムブッシュが取り付けられている為完全なる底付きをするケースはほとんどありませんが、それでも車高調が壊れる原因になります(オイルやガス漏れ)。
もし、バンプラバーが長い場合は少しカットする手段もあります。少しの底付きであればこれだけで異音解消する場合が多いです。
それでもダメならバネレートを上げるか、バネの遊びを無くしましょう。
ヘルパースプリングを上手に活用する方法もあります。
※バンプラバーが正常に取り付けれている場合は、異音と言うより衝撃の方が気になると思います。
ショックの伸びきり
ショックが限界まで縮んでしまう時にも異音が出ますが、その反対にショックが伸びきってしまった時にも異音が発生します。
バネレートを高く設定しすぎたことによって、沈み側のストロークの使用量が少ない時に、ショックの伸びきりが発生しやすいです。
詳しくはこちらの記事で解説済みです。
ここに関しては、ヘルパースプリングを導入して伸び側ストロークを確保してやることで異音の解決に繋がります。
ドラシャの干渉
車種によっては車高を下げたことでドライブシャフトとフレームが干渉してしまい、異音が発生する場合があります。
車の構造上、車高を下げるとドライブシャフトが万歳するので、フレームとのクリアランスが狭くなります。
金属と金属がぶつかり合って発生する異音になりますので、少し重たい音が発生することが多いです。
車種や干渉の仕方によっても異なりますが『ゴンゴン』『コンコン』といった異音が発生するケースが大半です。
ドライブシャフトの干渉を防ぐには以下の対策方法があります。
- 車高を上げる
- フレームをカットする
ドライブシャフトとフレームの干渉対策についてはコチラの記事で詳しくお話ししています。
バネからの異音
先ほども少し話をしましたがフロントサスペンションは、ステアリング操作に伴う、車高調が回転する動きをします。
これによってステアリングを切った時にバネから異音が出る場合も多いです。
バネから異音が出る場合は【コキコキ】【パインっ】バネが反発するような異音が出るケースが多いです。
バネからの異音についてはこちらの記事でお話ししていますのでコチラを読んでみて下さい。
まとめ
車高調からの異音に悩ませれたら以下の順番でハジから原因解明していくのがいいと思います。
- ストラットタワーの取り付け
- 車高調のトップナット
- アッパーマウント(ピロ、ゴムブッシュ)
- 車高調のロアブラケット取り付け
- ロックシートの確認
多くの異音は、本来ならしっかり締まっているものが緩んでしまい、ガタが生まれていることによって発生するものが多いと言うことを頭に入れておきましょう。
どこにも、緩みがない場合は以下に原因がある場合も多いです。
- ショックの底付き
- ドラシャの干渉
- バネからの異音
タイヤを外して干渉箇所を探ってみて下さい。それでは。
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