車の暖房がなかなか効かず、車屋さんに行ったらオーバークールが起きている状態です。と言われたんだけど、オーバークールって何?何が悪いの?
先日、知り合いの方よりこんな質問を頂きました。
そこでこの記事では、車やバイクにおけるオーバークールとはどういった状況でなぜ起きるのか?というテーマで専門用語を使わずに解説していきます。
車やバイクのオーバークールとは?
車やバイクにおけるオーバークールとは、エンジン内の油温(エンジンオイル)や、エンジンを冷やすための冷却水(クーラント)の温度が適正温度まで上がらず、冷え過ぎている状態を意味します。
オーバークール。言葉の意味そのまま、冷やし過ぎという状態を意味します。
何度になったら、オーバークールなのか?というと、これにはこれといった決まった数値はありませんが、以下がエンジンオイルと冷却水の適温になりますので、この数値を大幅に下回るとオーバークールの状態です。
- 油温(エンジンオイル) 90度付近
- 水温(冷却水) 80度付近
これはバイクも車も同じようにこのような状態になる可能性があります。
オーバークールが起きる原因
オーバークールが起きる原因は色々ありますが、一般的な車でオーバークールが起こる原因の大半はサーモスタットと呼ばれる部品が故障していることで起こります。
このサーモスタットと呼ばれる部品は、エンジン内部を巡っている冷却水の温度が高くなると扉が開き、エンジン内部だけで循環していた冷却水がエンジンの外へ(ラジエター)と流れて水温を下げる。この一連の流れをコントロールしている部品です。
※ラジエターとは、冷却水を冷やすための装置。ここに冷却水を流し込むことで、水温を下げることが可能です。
- 水温が低い サーモスタットは閉じている
- 水温が高い サーモスタットが開く
これを繰り返すことによって、エンジン内部を循環している冷却水の温度は冷え過ぎず、高温になり過ぎずの適正な温度状態を維持しています。
このサーモスタットが故障すると、サーモスタットはどちらかの状態から、動かなくなってしまう場合があります。
- 開かなくなる
- 開きっぱなしになる
つまるところ、オーバークールはサーモスタットと呼ばれる部品が故障し、開きっぱなしになっていることで、常に冷却水を冷やし続けてしまうことで起こります。
少し余談になりますが、逆にサーモスタットが開かない状態になると、今度はオーバーヒートの原因になります。
▪️サーモスタットはこんな部品
オーバークールは何が良くないの?
冷却水の温度やエンジンオイルの温度が高くなり過ぎると、オーバーヒートしちゃうけど、冷え過ぎているのであれば、とりあえず問題無いんじゃないの?
そんなふうに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、オーバーヒートとは違い、オーバークールの状態で走行をし続けても、オーバーヒートと比較すれば、車やバイクのエンジンに掛かる負担や故障のリスクは大幅に少ないのは事実。
しかし、エンジンはある程度、温度がどのぐらいまで上がるかを計算のもの作られています。そのため、エンジン内部の温度が上昇した時に最高のパフォーマンスが出るように各部の寸法が決められ、精密に作られています。
金属部品は、温度が上がると物体の体積が増加します。これを熱膨張と言いますが、言ってしまえば、温度が上がることでエンジン内部の部品が大きくなるということです。(もちろん、目で見て変化は無いよ。)
この熱膨張が起こっている状態を計算して部品と部品の隙間を決められているため、エンジンが冷えた状態ではこの隙間が大きく開いている状態。この状態で車やバイクをずっと走らせていると、部品の劣化が早まったりトラブルの原因にも繋がる可能性があります。そんな理由から、オーバークールの状態はエンジンにとってあまり宜しくない状態なのです。
オーバークールの状態のまま、車やバイクに乗っていても、特別大きな不具合が出ないケースがほとんどではありますが…。エンジンの負担を考慮すると、早めに直すことをお勧めします。
車に関して言えば、オーバークールの状態だと暖房が効かなくなります。
まとめ
車やバイクにおけるオーバークールとは、エンジン内部の油温や水温が適正温度よりも、はるかに低い状態を推移している状態を意味する言葉です。
言葉の通り、冷やし過ぎ。という状態ですね。
オーバーヒートに比べると、そのままの状態で走行していても、エンジンがいきなり壊れてしまうトラブルが発生するしケースはほとんど無いかもしれませんが、エンジンはオイルが適正温度になっている状態を考慮し、作られているため、エンジン内部の部品に負担になることは間違いありません。
そのため、オーバーヒートじゃ無いし、冷えている分には問題ないよね。という話ではなく、早めに直すことをお勧めします。
それでは。
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