ホイールナットを締めるときには、対角線上に締めなさい。と教わったけど、これが一体何のためなのかいまいち理解しきれていない…。
稀にこのようなユーザーを見かけることがあります。
そこでこの記事では、ホイールナットを対角線上に締め付ける理由についてお話ししていきます。
※これは車のホイールナットに限らず、4本以上のボルトやネジ、ナット等で固定する全てのものに該当する内容です。
ホイールナットを対角線上に締め付ける理由
ホイールナットを対角線上に締める理由は、ホイールナットを偏った順番で締め付けてしまうと、ホイールナットを締め付けた際、ホイールナットを締め付けていない側が浮き上がるような形になってしまうため、ホイール本体やハブボルト、ホイールナットに大きなストレスが掛かります。
これを防ぐために、ホイールナットは対角線上に締め付けてやる必要があります。
仮に反対側が浮き上がった状態になっても、浮き上がった場所のホイールナットをこれから締め付ければ、それは改善するんだから別に良いんじゃないの?
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、ホイールナットを偏った締め付け方で締め付け、浮き上がった面をナットで強引に元に戻そうとすると、一番初めに締めたホイールナットやハブボルトの負担が大きくなります。(もちろん、ホイールにも。)最悪の場合、ボルトやナットが折れてしまう可能性もあります。
それに、一度浮き上がってしまったものを反対側から締め付けても完全に綺麗な面で接触する形には戻らないケースも多いです。(目視で確認出来るような度合いではないにしろ、固定しているものが歪んだ形で固定されるということです。)
かなり極端に書いていますが、イメージは下記のイラストのような現象が起こります。
また、このような事態が起こることで、トルクレンチを使用していても、ホイールナットの締め付けトルクが均等になりません。(これは緩みの原因になる。)
そんな理由から、ホイールナットの対角線締めは必須です。
これはホイールナットに限らず、4本以上のボルトナットで固定する全てのものに対しても同じことが言えます。同じく車の部品で言うと、エンジンのヘッドカバーやオイルパン等に該当します。
これらはホイール以上に、対角線上にボルトナットを締め付けなければいけいない理由が、目に見えて分かるかと思います。プラスチック製のカバーだと最悪の場合割れるし、油脂系のものが入っているものだと中身が漏れてきます。これは先ほどもお伝えした通り、歪んだ状態で固定されてしまっている根拠になります。
▪️4穴の場合
▪️5穴の場合
対角線締めでもいきなり規定トルクを掛けてはいけない
たまに、ホイールナットの対角線締めはしっかり出来ているのに、ホイールナットを対角線締めでいきなり1本づつ規定トルクで締め付けている人を見かけることがあります…。これは絶対にNGです。
これをやってしまうと、ホイールのセンターが出る前にホイールの位置が決まってしまいます。
下の画像を見ると良くわかるかと思います。
ホイールナットを1つだけ締め付けた状態では、ホイールは完全なるセンターにはいきません。ハブボルトの径とホイール側の取り付け穴にはガタがあり、ホイールナットのテーパーでセンターを決める構造になっているためです。
そのため、ホイールナットを1つだけ締めた段階では、残りのナットホールとハブボルトの位置が合っていない状態。
この状態から、1つ目に仮固定したホイールナットとの対角線上のハブボルトにホイールナットを締め込んでいくことによって、初めてホイールのセンターが出る状態になります。つまるところ、2つ目のホイールナットを締め付ける際に、ホイールの位置が移動するということです。
このことを踏まえると、いきなり1つ目のホイールナットを固定する際にいきなり規定トルクで締め付けると、ホイールが移動するのに大きな負担が掛かり、ホイールのナットホールが痛んだり、必要以上にホイールナットを強く締め付けることにもなりますので、ボルトナットが痛む恐れがあります。
全てのホイールナットを仮固定(ホイールをナットで軽く抑える程度。十時レンチでナットを締めていき、抵抗を感じたぐらい)した状態から、対角線上にトルクレンチを使ってホイールナットを規定トルクにて締め付けてやります。
まとめ
ホイールナットを対角線上に締め付ける理由は、偏った締め付け方をしてしまうと、締め付けていない側が浮き上がる形でホイールが固定されてしまうためです。
浮き上がった側のホイールナットを後から締め付ける形になってしまうと、ホイールやホイールナット、ハブボルト等に大きな負担が掛かってしまいます。そうなると、ホイールナットが緩んだり、最悪の場合ハブボルトが折れる原因にも繋がります。
仮に浮き上がった側を後からホイールナットで締めても、一度浮き上がった状態になっているものは完全に元には戻らない可能性も十分あります。(元に戻る場合は、どこかが負荷に耐えらず、ギブアップした時です。削れたり、歪んだり曲がったり。)
そのため、必ずホイールナットは対角線上に締めてやるように…。
これはホイールナットに限らず、4本以上のボルトナットで固定するものに関しては、車に限らず全てに同じ理屈で同じことが言えます。そのため、車以外でも複数のボルトナットで固定する機会が合った際には、対角線上にボルトやらネジ、ナット等を締め付けるように。
それでは。
▪️関連記事はこちら