先日、友人からの頼まれモノで、アヒル商会さんの独立アクスルキットの取り付け作業を行いました。
そこでこの記事では、アヒル商会さんの独立アクスル取り付け方法について紹介していきます。
今回取り付けをした車両は、ホンダのN-ONE(JG1)ですが、独立アクスルキットを購入したオーナーさんが、メーカーよりどの車も基本的な取り付け方法は同じ。との説明を受けたようなので、N-ONE以外の車種でもあらかた1つの参考にはなるはずです。
使用する工具
- 電動ドリル
- 12ミリのドリル
- リューターかステップドリル
- 27ミリ ソケット
- 27ミリ コンビレンチ(スパナレンチ)
あとは、それぞれ車種ごと、アクスルの脱着に必要な工具だけで独立アクスルの取り付けが可能です。
※ソケットは少し深めが良いかも。
27ミリのスパナは、モンキーレンチで代用しないことを強くお勧めします。規定トルクが高いので、モンキーではとても怖くて締めたくありませんね。
独立アクスルの取り付け方法
独立アクスルの取り付け手順は以下の順番で作業をしていきます。
- 純正アクスルを外す
- 位置決め補強プレートを取り付け穴を開ける
- サブフレームを車体前方側にボルトにて仮固定する
- サブフレームをガイドにして車体後方側に穴を開ける
- サブフレームを本固定する
- アクスル本体を取り付ける
- 各部の調整を行う
純正アクスルの取り外しに関しては、ここでは説明を省きます。
位置決め補強プレートを取り付け穴を開ける
純正アクスルを取り外し、真っ先にやることは、キットに付属している補強プレート兼サブフレームの位置決めを行うためのプレートを後部座席の固定部分に固定します。
このプレートを基準に、独立アクスルのサブフレームが固定されますので、結構重要です。
下の画像のように、補強プレートの上にリアシートの取り付けブラケットが乗っかる形でシートを再度固定します。この時、ボルトを締め込む前に、プレートが真っ直ぐ固定されていることだけ要確認。
正直、真っ直ぐに。と取扱説明書に記載がありますが、どこを基準にすれば確実に真っ直ぐになるのかは、不明。今回は、プレートの折り曲げられているエンドの部分からの距離を左右で測ったり、色々な箇所を計測して本締めしました。
シートの取り付けボルト部分のボルトはM12に対して、キッチリの穴径で穴が空いているので、それほど慎重にならなくても、ほとんど真っ直ぐに付くかとは思いますが…。プレート部分が、フレーム形状に合わせて曲げてある点も含めて。
プレートの取り付けが完了したら、このプレートに空いている左右2ヶ所の穴をガイドに、フレームに12ミリの穴を開けてやります。
今回の車両は、燃料タンクが車体中央部分にあったため、燃料タンクを外したりずらしたりしていませんが、多くの軽自動車は、燃料タンクと穴あけ位置が近いので、その辺はよくよく考えて穴を開けることをお勧めします。
電動ドリルを使用し、車体に対してなるべく真っ直ぐに….。この手動で真っ直ぐに穴を開けるという動作が独立アクスル取り付けで一番難しいかもしれません。
多分、完全に真っ直ぐ開けることは不可能です。
下側の穴径は、12ミリよりも大きくなって構わないと記載がありましたので、少しだけリューターで削って穴径を拡張しています。13ミリのドリル、もしくはステップドリルを使って、下側から鉄板一枚に1回り大きめの穴に拡張するでもOKです。
仮に目視で真っ直ぐ空いたと思っていても、微妙な曲がりがある可能性が高いので、下側の穴は少し拡張した方が良いかと個人的には思います。
穴を開けたあとは、必ずバリが出るので、面取りカッターにてバリを除去しておきました。
バリを除去せずにボルトを固定してしまうと、ボルトやナットが面で接触しないので、規定トルクを掛けていても、ボルトナットが緩む原因に繋がります。
サブフレームを車体前方側にボルトにて仮固定する
先ほど開けた穴から付属のボルトを2本通して、このボルトにてサブフレームを仮固定します。この時、ボルト2本を差し込み、下側から潜ってボルトが垂直に落ちているかだけ、4方向から確認することをお勧めします。
下側の穴が曲がっていると、ボルトが斜めに出てきます。その際には、下側の穴をリューターで削るなどしてボルトが垂直に刺さるように微調整が必須です。
※車体後方側のフレーム固定穴はまだ空いていない状態。
開けた穴を使って、サブフレームを付属のボルトで固定するのですが、ここは言うまでもなく空洞です。
そのため、サブフレームを固定するためのボルトを締め込んでやると、どんどんフレームが潰されていく形になるのですが、車種によっては、潰れていない状態だとボルトの飛び出し量が全然足らずに、締め付けが出来ない場合があるらしい。
その際は、非常に面倒ですが長めのボルトを自分で用意し、ある程度締め込んでフレームを潰してから、付属のボルトに交換してやるしかありません。
※今回のJG1は問題ありませんでした。
サブフレームをガイドにして車体後方側に穴を開ける
車体前方側にサブフレームを仮固定したら、サブフレームに油圧ジャッキ等をあてがい、車体後方側の固定部分がフレーム(車体)にピッタリ当たるまで押し当てます。
この時、車体のフレーム側にトランクの水抜き穴があります。この穴と、サブフレームの固定部分に空いている穴の位置が合わさった時、サブフレームの中心出しが出来ている状態とのことです。
実際に水抜き穴とサブフレームの中心に空いている穴(ボルト穴ではない穴)を合わせた写真がこれ。
左右方向は合わせましたが、前後方向は合わない。サブフレームの形状的に車体側のフレームにならう形状なので、調整も無理。メーカーさんに直接問い合わせたところ、前後方向の穴位置は合わなくても気にしないで。とのこと。
左右方向だけは、位置合わせをしてやり、ジャッキでサブフレームを押さえ付けたまま、今度は車体の下側から再度ドリルで12ミリの穴を開けてやります。
サブフレームを本固定する
先ほど車体の下側から開けた穴を使って、フロント側と同様に補強プレートをあてがい、ボルト2本を通す。このボルトで、サブフレームの後方側を固定します。
この時、ジャッキでサブフレームは押さえ付けたままです。
これでサブフレームを固定するボルトが全部(4本)仮固定されていますので、ボルトナットを本締めしていきます。
ここのボルトは、当然なかが空洞のフレーム部分を股に掛けて締め込んでいくため、締めたら締めただけ締められてしまいます…。
そのため、付属のボルトを使用し、指示されたボルトの突き出し量になるまで、ノギスで計測をしながら少しづつ締め込みます。
▪️ボルトの突き出し量
- フロント側 12mm〜15mm
- リア側 8mm〜10mm
今回は、前後とも規定量の中間地点を狙ってボルトの締め込みを行いました。
※上の取扱説明書に記載されている数値は、今回取り付けたJG1用のアクスルキットに付属されているものに記載されている数値ですので、ここの数値が他の車種で丸っ切り同じかは不明です。
アクスル本体を取り付ける
これでようやくサブフレームが車体に取り付けられた状態ですので、これからこのサブフレームにアクスル本体側を取り付けてやります。
アクスルの固定手順は、下の画像に番号を振っておきました。
- 車体側の固定箇所
- ショックの取り付け
- サブフレーム部分のピロボール
この時点では、まだ仮固定ですので、全て手締めでOK。工具は使わずに締め込めと取扱説明書に記載あり。
ちなみに、これからトーの調整に入るので、バネも付けません。
加えて、トー調整用のシムも入れていない状態です。付属のカラーのみだけを入れて、どちらかにピロボールを寄せて、あらかたのトー角がいい位置に決まるよう、ピロボールの全長を仮で決めるイメージで仮固定するイメージです。
※後でまたピロボールの全長も調整するんだけれども。
これで一旦独立アクスルの取り付け作業が1段落です。長い長いトー調整が残っていますが…。ここまでで折り返し地点ぐらいの感覚かと思います。特に、初めての作業ならなおさら。
各部の調整を行う
最後にトー調整やらキャンバー調整を済ませて、各部のボルトを全て再度規定トルクにて、締め付ければ作業完了です。
- ピロボールのロックナット 100〜200N/m
- サブフレームとピロの固定 70〜80N/m
- キャンバー調整部分 50〜70N/m
▪️トー調整のやり方
▪️キャンバー調整のやり方
▪️アクスル側での車高調整
取扱説明書
ここでの説明に不安箇所があれば、こちらにメーカーさんの取扱説明書を貼っておきますので、こちらをご覧下さい。
まとめ
アヒル商会さんの独立アクスル取り付け方法は、大体こんな感じの流れで作業していきます。
ドリルの穴あけ作業とトー調整に少し時間が掛かります。かれこれ10台以上のアクスル交換を行なってきましたが、今回独立アクスルの取り付けに使った時間で、3,4台のアクスル交換が出来るぐらい…。
人の車ということと、まだ車体が新しいということでかなり慎重に作業した点も大きいですが…。
独立アクスルの取り付け作業は、時間に余裕を持ってやることをお勧めします。
それでは。
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