車のキャンバー角を調整する事が出来る事でお馴染みの【調整式ピロアッパーマウント】ですが…
これってセダン(クラウンなど)でも同じような効果がある!!って思われている方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。
では一体、セダンには何のために調整式ピロアッパーマウントを使うのか?これについて解説していきます。
セダンに調整式ピロアッパーマウントを入れるとキャンバーは付く?
先ほどもお伝えした通り、セダン車の場合、調整ピロアッパーマウントを使ってもキャンバー角の変化はありません。
正確には、セダンと言うより【ダブルウィッシュボーン式】のサスペンション。
これは足回りをよく見てもらうと分かるかと思います。
ピロアッパーマウントでキャンバーが付くストラット車の場合、車高調が直接ナックルに連結されています。
それに比べて、クラウンやスカイラインなどなどに採用されているダブルウィッシュボーン式サスペンションの場合、車高調がロアアームに固定され、そのロアアームにナックルが固定されているためです。
つまり、車高調を傾けても、ナックル(ハブ)に角度が使いないため、キャンバー角が付きません。
セダンに調整式ピロアッパーマウントを入れる理由
調整式ピロアッパーマウント=キャンバー調整のイメージが強く皆さんの頭に根付いているせいか、セダン車(ダブルウィッシュボーン式サスペンション)でもキャンバーが付く!と勘違いしている人が多い…
セダン車における調整式ピロアッパーマウントを取り付ける理由は、アッパーアームの調整幅を少しでも稼ぐためです。
これがピロアッパーマウントを取り付ける目的になります。
下手くそなイラストで申し訳ありませんがコチラで解説していきます。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションの場合、車高調がアッパーアームの中を通る形に作られています。
キャンバーを付けるために、アッパーアームを短縮するのがオーソドックスな手法としてよく行われています。
しかし、アッパーアームを短縮していくと、どうしてもボールジョイントと車高調のクリアランスが無くなり、限界を迎えます。
イラストの【X】で表記してある部分のクリアランスです。
ボールジョイントにはナックルが固定されていますので、ナックルと車高調のクリアランスも合わせてなくなります。
そこでピロアッパーアームが大きな役目を果たします。
ピロアッパーマウントを取り付け、車高調を車体側に移動させる事で、再びアッパーアームと車高調のクリアランスを取る事が出来、再びアッパーアームを短縮する事が出来るのです。
つまり、セダン車において、ピロアッパーマウントの取り付けは、アッパーアームの短縮キャパを広げてやるのが目的なのです。
ピロアッパーマウントを倒して、角度が付くのは車高調だけで、キャンバー角の変化は全くありません。
セダンでキャンバー角を付ける方法
セダンのダブルウィッシュボーン式サスペンションの場合、キャンバー角を付ける方法は4つあります。
- ナックル加工
- ロアアーム延長
- アッパーアームの短縮
- ロールセンターアダプターの取り付け
コチラのレクサス【ISF】ではアッパーアームとナックル加工によってフロントキャンバーを付けています。
ナックル加工にはキャンバーだけでは無く、ショート加工の役割もあり、ショート加工のついでにキャンバーを付ける方も多いです。
詳しいキャンバーの付け方については、こちらの記事で別途解説しています。
まとめ
セダンを弄っている方で、フロントのキャンバーを付けるためにピロアッパーマウントの導入を検討されている方がチラホラいらっしゃいますが、ピロアッパーマウントではキャンバー角は付きませんので注意して下さいね。
セダン車(ダブルウィッシュボーン式)に調整式のピロアッパーマウントを導入する目的は、キャンバー調整のキャパシティを拡張するためです。
ピロアッパーマウントでキャンバー角が付くのはストラット車の場合のみです。
- アッパーアームの短縮
- ナックル加工
- ロールセンターアダプターの導入
この辺りがセダンのフロントキャンバーを付ける方法になります。
それでは。
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