これからアクスルをショップさんにて加工をお願いする予定なのですが、オプションのキャスターバックというものがイマイチ理解出来ません…。キャスターバックのオプションは必要でしょうか?
先日、このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、アクスル加工におけるキャスターバックについて紹介していきます。
【加工アクスル】キャスターバックとは?
アクスル加工におけるキャスターバックとは、ハブの取り付け位置を車体後方側にオフセットする形で加工を行い、ホイールを車体後方にズラしてやるための加工です。
サスペンション構造にアクスルが用いられている場合、アクスルは半円を描きながら持ち上がっていくため、車高を下げれば下げただけホイールの取り付け位置は、車体の前方へとズレていきます。
車体前方にズレてしまったホイール位置を元の位置に戻してやる。という表現の方が分かりやすいかもしれません。
雑なイラストですが、イメージはこちらでバッチリかと思います。極端ですが、車高が下がるとアクスルはこのような軌道を描きます。
車高を下げることで、前方にズレてしまったタイヤを元の位置に戻すため、簡単に言えばアクスルを延長してやるようなイメージですね。
キャスターバックの必要性
アクスルでキャスターバックを行うか否かは、車高の下げ幅だけではなく、車高の下げ方や車種によっても状況が変わってくるので一概には言えません。
車高を下げると、キャスター角が大きくズレる車種もあるし、それほど大きくズレない車種もあります。
これは、アクスルの形状によっても大きく変わります。簡単にお伝えしておくと、アクスルの取り付け位置から、ハブの固定位置までの距離が短ければ短いほど、車高変化に伴うキャスター角のズレが大きくなります。
1つ例を挙げると、トレーリングアームを返してアクスルを車体に固定するスズキ車のような場合は、車高の変化に伴うキャスター角のズレが小さくなります。
その反対に、アクスルを直接車体に固定するH型のアクスルの場合は、ハブの取り付け位置からアクスルの取り付け位置までの距離がそれほど稼がれていない車種が多いので、キャスターのズレて大きくなる傾向にあります。
ただ、これは車高をどのぐらい下げたら…。とお伝えするのも難しい問題で、どれだけ車高が低く設定されていたとしても、アクスルの上げ加工によってガッツリ車高が下げられているケースにおいては、それほどキャスター角のズレは生じにくくなります。
これから加工アクスルの製作をどこかに依頼される場合は、加工アクスル導入後の車高調によるダウン量を一度実践してみて、その塩梅でキャスターバックを追加するか否か決めてやると良いかと思います。
▪️例えば…
- 純正アクスル 車高調 80ミリダウン
- 加工アクスル 車高調 50ミリダウン アクスル60ミリダウン
現状は車高調のみで80ミリダウンしている状態だったとして、加工アクスル導入後はアクスルの上げ加工で60ミリ下げて、車高調側は少し車高を上げて、50ミリ程度に設定してセッティングを取るようなケースを例で見てみると…
加工アクスルの製作を依頼される前に、純正アクスルの状態で、車高調の下げ幅を少なくした状態でのホイール位置を観察してみるということです。
あくまでもこれまで僕自身が触ってきたアクスル構造の車たちは、アクスルの上げ幅で50〜60ミリ程度下げてやり、残りを少し車高調で補足する程度の下げ幅であれば、キャスターバックを追加しなくても、それほどキャスターのズレは気にならないケースが大半です。
まとめ
これから加工アクスルの製作を依頼したり、中古で加工アクスルを購入される方は、キャスターバックのオプションを依頼するか(キャスターバックがされているアクスルを購入するか)迷われる方も少なくないかと思います。
実際に、加工アクスル導入後、自分がどのぐらいの車高を下げるかをイメージしつつ、上げ加工の幅を見ながら車高側でどれだけ車高を下げるのかを想像しながら、キャスターバックの有無を決定するしかありません。
アクスルの上げ加工を追加して、車高を下げる場合車高調側でそれほど頑張って車高を下げなくても済むため、下げ幅にもよりますがキャスター補正が無くても問題ないケースが大半です。
個人的に、キャスターバックの追加工を必要だと感じた車はムーヴの時ぐらい…。
アクスルの上げ加工で70ミリ下げていたのですが、ムキになって車高調側で下げていったらガッツリホイールが前に…。
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