車を弄っていると、どうしても固着してしまっているボルトに出会す場面がちょくちょくあります…
足回りのボルト類なんかだと雨に濡れ、泥を被り…
エンジン周りのボルトは熱によって…
そこで様々な固着したボルトに有効な外し方について5つの方法を紹介していきます。
番外編では…
- ボルトの頭が舐めてしまって外せない場合
- ボルトが折れてしまって外せない場合
こちらについても解説していきます。
固着したボルトの外し方(5種類)
- 浸透剤(556・ラスペネ)
- ハンマーで叩く
- バーナーで炙る
- スピンナーハンドル
- ショックドライバー
今の状況をよく確認して、試せる方法を全てハジから試していく事をお勧めします。
こんな方法で固着したボルトは外れないでしょ。って思って試していなかった方法で外れるケースを僕自身何度も経験しているためです。
その方法を順番に詳しく解説していきます。
浸透剤(潤滑油)
まずは固着してしまったボルトに浸透剤(潤滑油)を掛けてあげましょう。
定番な方法ですが、やっぱり1番最初に試しておきたい方法です。
有名でコスパの良い556で構いません。それでも外れない場合はワコーズから出ている【ラスペネ】が最強です。
ラスペネは金額こそ高いですが、それだけの価値がありネット上の評判もかなり高いです。僕も必ず工具箱に入れておくようにしています
マニ変えた時に思ったけど、やっぱりラスペネ最強だわ
1週間前から指し続けてたけど、マニのスタッド1本も折れなかった pic.twitter.com/VOv7YB9Rw9
— ナ ベ (@j8z1x_sw) April 21, 2016
浸透剤はボルトに吹き掛けてからすぐに効果が現れる訳ではなく、少し時間を置く必要があります。
浸透剤を吹き掛けたら、少し時間を置いてから作業に戻りましょう。
浸透剤を吹きかけたら、別の方法を試すのが効率的ですね。
ハンマーで叩く
次に試して貰いたいのがボルトにショックを与える事。
ボルトの頭をハンマーで叩いてみて下さい。
ボルトの頭を叩きショックを与えてやる事で、固着してしまったボルトとネジ山に隙間が生まれます。
闇雲に強く叩きまくれば良い!って問題ではありませんので、あまり大きなハンマーは使わず、ボルトの頭の様子(形が変形していないか?)を伺いながら叩いて下さい。
ボルトをハンマーで叩くことによって、振動を与えてサビによる固着を剥離する効果が期待出来ます。
ボルトをハンマーで叩いたぐらいで固着したボルトが外せるわけない。
そんな風に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、過去に固着したボルトを叩いて、固着がまるで嘘だったかのように、回った経験あり。
ナットをバーナーで炙る
【熱膨張】と言う言葉を耳にした事があるでしょうか?
鉄は熱する事によって膨張します。この性質を上手く利用して固着してしまったボルトを緩める事が出来ます。
■熱する際はバーナーを使うので、狭いところや燃える可能性があるような場所にあるボルトにはこの方法は行わないで下さい…【危険ですかね。】
バーナーで炙る時は、ナットをよく炙ります。
ボルトでは無くナット側を膨張させ、固着したボルトを回るようにしますからね。
ボルトを膨張させては意味がありません。
スピンナーハンドルを使う
スピンナーハンドルって何?
という方もいらっしゃるかもしれません。
スピンナーハンドルはコチラです。通常のラチェットを横に並べているので大きさの違いがよく伝わると思います。
これがスピンナーハンドルです。ラチェット同様にソケットレンチを装着して使います。
要するに、この長さを生かしてこの原理によって緩める方法です。
硬いボルトでもスピンナーハンドルを使うと、テコの原理によって大きな力を掛ける事が出来るため大概緩みます。
僕はそれでも緩まない場合は、スピンナーハンドルに鉄パイプを入れ、さらにスピンナーハンドルを長くしてボルトを緩めます。
しかし、あまりにも延長し過ぎるとボルトが折れてしまったり、スピンナーハンドルの付け根が壊れてしまう恐れがありますので注意も必要です。
安物でも持っているとかなり重宝します。僕なんかは車の整備をする際、必ず使います。固着していないボルトでも、硬いボルトを簡単に回せる代物です。
ショックドライバーを使う
ショックドライバーは一般的なドライバーでは無く、特殊なドライバーになります。
ボルトの頭がプラス側で、外せない場合は真っ先にショックドライバーの出番です。
ショックドライバーは、ドライバーの後方部分をハンマーで叩く事で、ドライバーの先端が回転する事で、ボルトを緩める事が出来ます。
ショックドライバーはボルトの頭がプラス型の際に役立ちます。
プラスのボルトは力を掛けにくく、固着してしまっているとなかなか緩める事が出来ません。
無理やり人力で緩めようとすると、ボルトの頭がナメてしまい、ボルトを緩められなくなってしまいます。
ショックドライバーは多少金額が高いですが、バイクを弄る方なんかであれば使う出番も多く役にたちます。
僕自身もバイクのエンジンを触る時にはよく使っていた工具です。
プラス型のボルトによく苦戦するという方にもおすすめですね。ショックドライバーを正しく使えば一発で外れます。
固着したボルトを外す時の基本
固着してしまったボルトを外す際にスパナを使う方がいますが、スパナでは無く【メガネレンチ】を使うようにしましょう。
- 左 スパナ
- 右 メガネレンチ
スパナは見ての通り、ボルトの2面にしか接しません。ボルトと工具の当たり面が少なければ、ボルトに大きな負担が掛かってしまい、ボルトのアタマが変形してしまう恐れがあります。
その一方で、メガネレンチは全ての面で接するので、ボルトに掛かる力が分散され、ボルトの頭を変形させてしまうリスクを減らす事が出来ます。
このような理由から、固着してしまったり、硬いボルトにはスパナでは無く【メガネレンチ】を使いましょう。
ボルトの頭がナメてしまった場合の外し方
- ツイストソケット
- ナットを壊す
- ネジザウルス
固着したボルトと格闘していると、ボルトの頭がナメてしまう事も珍しくありません。
そんな時の対処方法を3つ紹介します。
ツイストソケット
六角のボルトの頭がナメて変形してしまった場合によく使われるのがツイストソケットと呼ばれる工具です。
まずはコチラの工具をご覧ください。
ぱっと見は一般的なソケットなんですが、ボルトの頭部分がハマる場所を見るとなんだか丸っこくなっています。
コチラは、ボルトの頭より少しぶかぶかな設計になっており、ボルトの頭をソケットの形に合わせて緩める方法です。
注意点は、ツイストソケットは緩める方向にしか使えません。特殊なボルトで再び使いたいと思っても、再利用は出来ません。
ツイストソケットはボルトをダメにしてでも、無理やり外す工具という事を頭に入れて置きましょう!
ナットを壊す
どうしても外れない場合は『ナット』を壊す事で外すのが手っ取り早いです。
但し、この方法はナットが使われていないと実行が出来ません。
ナットを破壊する場合は、グラインダーでナットを削るかナットを切る方法が手っ取り早いです。
あまり知られていませんが、ナットを壊す工具もあります。
これは『ナットブレーカー』と呼ばれていて、ナットとボルトが外れ無い時にナットを破壊する工具です。
『ナットクラッシャー』や『ナットクラッカー』と呼ばれることもあります。
使い方は簡単でコチラの工具をナットにはめて、手前のボルトを締め込んでいくとナットを破壊出来るという優れものです。
ネジザウルス
ナジザウルス?何それ?恐竜の名前?
ネジザウルスは、プラス型のネジが舐めてしまった際に、約立つ取って置きのアイテムです。
プラスのネジが舐めてしまった場合は、ネジザウルスと言っても過言ではありません。
ネジザウルスはぱっと見ただのプライヤーにも見えますが、舐めてしまったボルトを摘む事で、ボルトに食い込みそのままボルトを回す事が出来る工具です。
プライヤーの先端が特殊な【刃】になっていて、一度ボルト(ネジ)に喰いついたら離さない!と言うのが商品名の由来です。
プラスネジの頭が舐めてしまったら、真っ先にネジザウルスを試すことをお勧めします。
ボルトが折れてしまった場合の外し方
固着した、ボルトと格闘していると、ボルトが負けて折れてしまう場合があります。
折れてしまったボルトを救出する方法は、3つあります。
- 逆タップ
- ボルトに穴を開ける
- ボルトにボルトを溶接する
逆タップ
ボルトが折れてしまった場合、ボルトの頭に穴を開けて、そこにねじ山を立ててボルトを引き抜く方法があります。
これは逆タップと言われていて、僕も仕事で使う事があります。
ねじ山を作成する際には、ボルトに大きな負荷が掛かります。
この負荷を上手く利用したのが、逆タップです。逆タップというのは逆ネジという意味で、反時計回りにねじ山を立てます。
逆タップは反時計回りに回転しているので、ねじ山を作成する際に起こる負荷によって、頭のナメてしまったボルトが緩む方向に回ろうとします。
これを上手く使って、ボルトを引き抜く方法です。
ボルトに穴を開ける
ボルトが折れてしまって、頭が無くなりどうしようも出来なくなった場合、ボルトに穴を開ける方法もあります。
折れてしまったボルトの中心に、ドリルを使って貫通の穴を開ける事で、ボルトを破壊し無理矢理外す事が可能です。
先日、僕自身仕事中にボルトを折ってしまい、この方法で救出しました。
少し荒技にも見えますが、かなりの確率で外せるしネジ山を痛ませる事もありません。
しかし、ドリルが途中でズレてしまうと、ネジ山が痛む可能性もあるので注意しましょう。
ボルトにボルトを溶接する
少し難易度が高めではありますが、折れたボルトを救出する方法の1つですので、紹介しておきます。
ボルトが折れてしまって、工具でボルトが回せないのであれば、再び工具で回せるようにボルトをくっ付けてあげる方法があります。
ただし、この方法は溶接できる程ボルトが飛び出ている必要があります。
また、溶接が出来る環境も必要です。
こんなの素人には無理じゃん!
って思うかもしれませんが、このような手段を知っている事で、車屋さんやバイク屋さん、町工場の力を頼れるキッカケになる場合があります。
なので、ここでは溶接する方法も紹介しておきました。
それに素人でも、自宅で溶接することも不可能ではありません。
固着したボルトが外れた後の処理も大事
ここまで固着したボルトの外し方を紹介してきましたが、実は外した後の処理もとても大切です。
『緩んでよかった〜』と安心してしまったせいか、そのままのボルトやネジ山に再びボルトを入れてしまう方がいますがこれは危険です。
固着していたボルトやねじ山は錆によって汚れているため、そのままボルトを入れてしまうと、次に外す際また同じ苦労を繰り返す事に…
そうならないためにも、外した後の処理も忘れずにね。
洗浄
取り外したボルトを再び使う場合は必ず洗浄を行います。
ボルトを新しくする場合でも、受け側のねじ山の洗浄を行いましょう。
洗浄はパーツクリーナーとワイヤーブラシを駆使して行いましょう!!
あまりにも錆が酷い場合は、『青ニス除去スプレー』がおすすめです。こちらは錆が取り剤です。
特に、ナットや受け側のねじ山はブラシを使って擦る事が出来ないため、青ニス除去スプレーなどを使って、錆を浮かせてあげましょう。
青ニス除去スプレーを使って錆が浮いたら、後はパーツクリーナーで洗浄!556などの潤滑油を吹いてからボルトを締め込むと錆の再発を防ぎます。
わざわざ青ニス除去スプレー缶買うのはちょっとな…。という方も多いでしょう!
そんな方には、【灯油】を使う選択もあります!
錆びてしまったボルトやナットを【灯油】の中に付けておくと錆が綺麗に取れていきます!!
但し、灯油漬けにする場合は半日〜1日程度の時間を要するのがネックです。
リタップ
錆び付いてしまった、ボルトやナットにタップダイスという工具を使う事で簡単に錆を取り除く事が出来ます。
タップダイスとは、ねじ山を作成するための工具です。
つまり、ねじ山を再び作成する工程を行う事で、錆や汚れを取り除く事が出来ます。
これをリタップと言います。
リタップしておけば、ボルトやナットはスムーズに入っていきますのでおすすめです。
僕は新しくねじ山を作成する事はありませんが、リタップするためだけのために、タップダイスを購入しました!!
かなり便利で車を弄っていると、出番も多いです!リタップに使うぐらいなら安物で充分です。
余裕のある方は持っていて損は無いと思います!
まとめ
固着してしまったボルトは諦めずに、色々な方法を試めしてみて下さい。
この記事では、少しでも多くの方法を!という事でありとあらゆる方法について解説してきました。
自分に出来る方法を見極めて無理しない程度に頑張って下さい。
車やバイクのボルト類でしたら無理せずに、早い段階でショップ(修理工場)にお願いするのも1つの手です!
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