久しぶりにモンキーのエンジンを掛けたら、エンジンオイルが漏れてたんだけどこの漏れって何が原因(どこが悪くて)オイルが漏れているんだろう?
こんな相談を受けました。
そこでこの記事では、ホンダのモンキーやカブ、ダックス、シャリーに搭載されているホンダの横型エンジンのオイル漏れについてお話ししていきます。
- オイルが漏れる場所
- オイル漏れの対処方法
【モンキーやカブ】エンジンオイルが漏れる原因と対処方法
モンキーやカブのエンジンからエンジンオイルが漏れてくるポイントは以下の点がほとんどです。
- ヘッドカバー類
- シリンダーとヘッドの合わせ面
- シリンダーとクランクケースの合わせ面
- クラッチカバーの合わせ面
- クランクケースの合わせ面
- シャフト部分のゴムパッキン
- ジェネレーターのパッキン
基本的には、モンキーやカブのエンジンからエンジンオイルが漏れているケースは、この中のどこかが原因でオイルが漏れている状態です。
※エンジンが割れているとかでは無い限りは…。
順番に細かに解説と対処方法(直し方)について紹介していきます。
ヘッドカバー類
シリンダーヘッドには、カバーが合計で5つ取り付けられているため、エンジンオイルが漏れ出す原因になりうるポイントが最も多い部品の1つです。
- トップカバー
- サイドカバー
- カムカバー
- タペットカバー(2個)
トップカバーとサイドカバー、カムカバーに関しては紙のガスケット。タペットカバーに関しては、30.8ミリのゴムパッキンが使用されています。
▪️トップカバー
▪️サイドカバー
▪️カムカバー
▪️タペットパッキン
これに加えて、トップカバー(スタッドボルト部分に固定してあるカバー)の左下にはオイルラインがあるため、銅ワッシャーが使用されていますが、ここの銅ワッシャーがダメになると、エンジンオイルが漏れてきます。
※スタッドボルトを伝ってエンジンオイルがクランクケース内からエンジンの腰上に上がってきます。
シリンダーとヘッドの合わせ面
シリンダーヘッドとシリンダーの合わせ面に関しては、メタル式のガスケットが採用されているため、シリンダーとクランクケースの継ぎ目ほどエンジンオイルが漏れてくる可能性は低いですが、それでもエンジンオイルが漏れてくる可能性も十分あり得ます。
腰上を分解して、メタルガスケットを交換してやる必要があります。
下の商品のように、腰上で分解に必要なガスケットが一まとまりになっているセットが売っているので、こちらの購入すれば、先ほど紹介したカバー類のガスケットから、このあと紹介するシリンダーとクランクケースの合わせ面部分のガスケットが1発で揃います。
※排気量ごとに、シリンダーヘッドとシリンダーヘッド部分のボア径が異なりますので、ガスケットサイズも当然変わってきます。
▪️50cc用
▪️88cc用
エンジンを組み付けてすぐにここからエンジンオイルが漏れるケースでは、シリンダーヘッドを組み付ける際に、サイドのボルトを先に締め込んでいるケースが考えれます。
エンジンをフライホイール側から見た時に、シリンダーとシリンダーヘッドを直接固定しているM6のボルトです。
組み込み時に、このボルトを先に本締めしてしまうと、反対側には固定のボルトが無いので、シリンダーヘッドが斜めになってしまい、シリンダーヘッドとシリンダーの間に隙間が….。
その後に、トップカバーを固定する際に締め込む4本のナットを締め込んでも、完全には密着していない状態になる場合もあります。
シリンダーとクランクケースの合わせ面
シリンダーとクランクケースの合わせ面からエンジンオイルが漏れてくる場合、紙のガスケットが原因になっているか、上の画像中央部分に写っているエンジ色のゴムパッキンが原因でオイルが漏れているかの2択です。
- 紙のガスケット
- ゴムパッキン
どちらが原因にせよ、ここのガスケットなりパッキンを交換する際には、両方セットで交換になります。
また、エンジン組み込み直後にこの合わせ面からオイルが漏れてくるような場合、腰上の組み込み時にパッキンが落下してしまい、パッキンが入っていないケースもあり得ます。
クラッチカバーの合わせ面
クラッチカバーの合わせ面からエンジンオイルが漏れてくるケースもあります。この場合は、クラッチカバーを固定しているボルトを全周外して、クラッチカバーを開けてやり、古いガスケットを除去したのちに、新しいガスケットを入れて組み替えるだけなので比較的簡単に作業が可能です。
上の写真の通り、エンジンを車体から下ろす必要もありません。
バックステップが装着されている場合は、バックステップを外す必要があるかもしれませんが、キックペダルだけ外してやれば、そのまま作業が可能なので、修理の難易度はかなり低めですね。
クランクケースの合わせ面
クランクケースとクランクケースの継ぎ目からエンジンオイルが漏れてきてしまっている場合は、エンジンのオーバーホールが確定です…。
エンジンを腰上から腰下まで全てバラさない限り、ここのガスケットは交換することが出来ません…。
オイル漏れの修理としては、このクランクケースの継ぎ目からのオイル漏れが一番厄介ですね。
クランクケースのガスケットは6Vエンジンと12Vエンジンで微妙に形状が異なりますので、購入時には注意が必要です。
▪️12Vエンジン用
▪️6Vエンジン用
シャフト部分のオイルシール
オイル漏れが起こりうる箇所の中では、ガスケット類が多いですが、実際にエンジンオイルがよく漏れる点として挙げられるのは、シャフト類のパッキン(オイルシール)部分からのオイル漏れです。
- キックシャフト
- カウンターシャフト
- シフトアーム
これらのシャフト部分は、稼働するためゴムパッキンを痛めやすく、エンジンオイルが漏れてくるケースが多いです。このパッキンに関しては、エンジンの外側から嵌め込まれているだけですので、簡単に修理が可能です。
ピックツールと呼ばれる、このような工具をゴムパッキンに差し込み、テコの力を利用し引っ張り出してやると簡単にゴムパッキンが外せます。
安い工具ですが、いろいろな場面で役に立つので、もし持っていない方がいれば持っておくと良いと思います。
ゴムパッキンを取り外すと、中はこのようにパッキンがはまるように溝になっています。パッキンを取り外したら、このパッキンがハマる部分を綺麗に掃除して、再びパッキンを入れ直してやれば、オイル漏れの修理が完了です。
マイナスドライバー等でこじってこのオイルシールを外すと、内側に傷が付きそれがオイル漏れの原因になる場合があるので注意です。
先ほど紹介した3箇所のオイルシールが3点セットになっている商品がポッシュさんから販売されていますので、1カ所オイル漏れを発見したら、全てのオイルシールを交換してしまうことをお勧めします。
ジェネレーターのパッキン
以外にエンジンオイルの漏れの原因で見落とされがちになるのが、ジェネレーター周りのパッキンとオイルシールからのオイル漏れです。
- ジェネレーターベースの外周
- 取り付けボルト部分のOリング
- クランクシャフト部分のオイルシール
オイルシールに関しては、先ほどシャフト周りのオイルシールと同様に取り外すことが可能ですが、ここのオイルシールに関しては、ジェネレーターベースの裏側からハマっているので、ジェネレーター周りを分解しないと交換は出来ません。
ジェネレーター部分には、フライホイールを隠して置くためのジェネレーターカバーが取り付けされているため、オイル漏れの場所特定がしにくかったりします。
ジェネレーターカバーを外した内側にオイルが溜まっているような場合は、ジェネレーターを固定している部分のパッキンかクランクシャフトのオイルシールがオイル漏れの原因です。
ジェネレーターカバーを取り外すと、画像の矢印部分にエンジンオイルが溜まります。漏れがひどい場合は、そのままカバーの外側に漏れてクランクケースを伝ってエンジンの下へ。
※画像ではフライホイールもジェネレーターも外れていますが、取り外さなくてもオイルが漏れているか否か確認が可能です。
もし、ジェネレーター周りからオイルが漏れている場合は…
- 外周のパッキン
- 取り付けネジ部分のパッキン
- クランクシャフト部分のオイルシール
この3点をセットで交換することをお勧めします。
フライホイール並びに、ジェネレーターの取り外し方法については、こちらの記事で紹介しています。
クランクケースの上部からオイルが漏れているよ?
以前、クランクケースの上からオイルが漏れていると言っている人がいましたが、クランクケースの上部にオイルが付着している、もしくはオイリーになっている場合は、エンジンオイルの入れ過ぎが原因かもしれません…。
クランクケースの後方、上部にエンジン内部のブローバイガスを排出するためのニップルがあります。
ここからは通常、ブローバイガスだけが出てくるのですが、エンジンオイルの全量が多くなっていると、ブローバイガスと一緒にエンジンオイルが出てくる場合があります。
※純正の状態であれば、ここのニップルにはゴムホースが刺さっており、キャブレターにブローバイガスを吸わせる構造になっています。
もし、ブローバイ排出口のニップル付近がオイリーになっているのであれば、エンジンオイルの全量を確認してみて下さい。
ガスケット交換時の注意点
エンジンオイルが漏れる場合は、ガスケットがダメになっているパータンとゴムパッキン(オイルシール)がダメになっているパターンの2通りです。
パッキンに関しては、付け替えるだけなので特に注意点はありませんが、ガスケット部分に関しては注意点ありです。
- カッターは使用しない
- 合わせ面にはオイルストーンを使う
古いガスケットを取り外す際に、カッターを使用して外そうとする人も多いですが、合わせ面に傷が付きオイル漏れの原因になるのであまりお勧めはしません…。せっかくオイル漏れを直そうと思っているのに、またオイル漏れの原因を作ってしまっては、本末転倒です…。
加えて、古いガスケットを剥がし終えたら、合わせ面をオイルストーンで平らに仕上げてやることも忘れずに。これをやると、エンジンの合わせ面同士の面が綺麗に整い、ガスケットとの密着度合いがよくなる為。オイルが漏れにくくなります。
※もちろん、ガスケットが劣化したらまた漏れてくるのだけれども…。
まとめ
モンキーやカブのエンジンからエンジンオイルが漏れてくる原因はここで紹介した7つの何処かからオイルが漏れてきているケースが大半です。
エンジンが割れたりしていない限りは、他の箇所から漏れてくることはありません。(書き忘れがなければ…。)必ずこの中にオイル漏れの原因があるはずです。
- ヘッドカバー類
- シリンダーとヘッドの合わせ面
- シリンダーとクランクケースの合わせ面
- クラッチカバーの合わせ面
- クランクケースの合わせ面
- シャフト部分のゴムパッキン
- ジェネレーターのパッキン
エンジンオイルが滴っているのか湿っている程度なのか度合いは分かりませんが、そのオイル漏れの跡を辿ってやれば、オイル漏れの原因は追求できるかと思います。
ジェネレーター周りのオイル漏れに関しては、ジェネレーターカバーを取り外してやると簡単に分かりますので怪しいと思った際には、カバーを外してみて下さい。
それでは。
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