先日、バイクのドライブチェーンの交換をしたところ…
ドライブチェーンの張り具合がイマイチ良くわかりません…。どのぐらいで張ればいいのか目安はありますか?
このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、バイクのドライブチェーンを張る際の目安や車種や仕様によってもチェーンの張り具合が変化する理由についても合わせて紹介していきます。簡単に言うと、ドライブチェーンにたるみを作る理由ですね。
ドライブチェーンの張り具合の目安
バイクの車種や仕様によってもドライブチェーンの張り具合は変わってしまうので、一概にこのぐらい張れば良いよ。と一言で教えてあげることは出来ませんが、1つの目安となる数字が【30ミリ】程度のたわみが出来る程度の張り具合が目安になります。
これは、ドライブチェーンを張った状態で、工具や指でドライブチェーンの中心部分を押してやり、メジャーやノギス等で30ミリ前後チェーンが動く状態を意味します。
ただしこの30ミリという数字はあくまでも1つの目安に過ぎません。全てのバイクで30ミリ分遊びがあれば良いと言う意味ではありませんので、勘違いしないように…。
次に、車種ごとにチェーンの張り具合が変わってくる理由について解説していきます。
車種や仕様によって理想の張り具合が異なる理由
ドライブチェーンの張り調整を自分で行うユーザーが絶対に知っておかなくてはいけないのが、車種や仕様によってドライブチェーンの張り具合が異なる理由です。
もっと言えば、チェーンにたるみを作っている理由とも当てはめることが可能です。
これは、バイクのリアサスがストロークし、沈み込んだ際や伸び上がった際にスイングアームが半円を描きながら可動するため、エンジン側のスプロケットとリアハブ側のスプロケットの【直線距離】が変わってしまうので、チェーンに遊びを作ってやる必要があります。
久しぶりに下手くそなイラストを用意しましたので、こちらを使って説明していきます。分かり易いように、かなり大袈裟に書いています。(下手くそだけども、原理は十分お伝え可能かと思います。)
- 左側 1G状態
- 右側 ストロークした際
※1G状態は、サスペンションが車重のみを支えている状態を意味します。静止状態です。
一般的なバイク(純正)の場合、スイングアームの角度は、付け根に比べて先端の方が地面に近い垂れ下がった向きで取り付けられいます。この状態からストロークして、スイングアームが並行に近づくに連れて、エンジン側のスプロケットからリアハブに固定されているスプロケットまでの直線距離が遠くなるのが理解できると思います。
スイングアームは、半円を描きながら稼働するため、1G状態時にはなかった【Y】の距離が生まれます。(実際にはイラストほどの距離の変化はありませんよ…。)
当然、この状態(ストロークしてスイングアームが並行)になると、ドライブチェーンは1G状態の時よりも張られる状態になります。この時に、チェーンがパンパンに張られた状態になるのを防ぐために、チェーンの張り調整をする際、たるみを残しておく必要があるのです。
ここで話を少し戻しますが、スイングアームの全長であったり、1G状態のスイングアームの角度は車種や仕様(車高)によって変化するため、理想的なドライブチェーンの張り具合は変わってくるのです。
もしチェーンの張り具合が分からず、不安であれば少し手間は掛かりますが、フレームにジャッキを当てがった状態でリアサスを取り外し、スイングアームが並行になる部分で、ドライブチェーンに少しだけ余裕(パンパンに張っていない状態)があるように調整してやれば、間違いない調整が可能です。
ちなみにですが、僕のモンキーのドライブチェーンの張り具合は、7〜10ミリ程度しかたるみがない状態に調整してあります。
アングル的に少し分かりづらいですが、車高を極端に下げているため、スイングアームは1G状態でほとんど並行な状態になっています。すなわち、ストロークする前からドライブチェーンが最も張る状態になっていると言うことです。
言い方を変えると、ストロークすればするほど、ドライブチェーンがたるむと言うことです。
このバイクのような仕様でドライブチェーンの張り調整をする際、30ミリもたるみを作ってしまったら、ストロークした際にチェーンはだるんだるんの状態になってしまいます。
※モンキーを始めとするミニバイクは、排気量が大きいバイクと比べて元々の張り具合が異なるので、あくまでも極端な例として紹介しているだけで全くと言って良いほど、参考データにはなりません。
まとめ
ドライブチェーンの張り具合の目安は30ミリ前後たるみが出来る(チェーンを押した時に)程度に張り調整を行う車種が多いです。ただし、これは一般的なバイクの平均値的な数値に過ぎません。
実際のところは車種によっても、どの程度たわむ状態にチェーンを張れば良いのかは異なります。
メーカーが用意している整備書(整備方法が記載されているもの)が手に入ったりそこに記載されている数値が分かれば手っ取り早いですが、もしそうでない場合で不安が残るのであれば、フレーム等にジャッキを当てた状態で、リアサスペンションを外してストローク状態を作り出してやりながら、チェーンの張り調整を行うのが最も確実です。
※30ミリ程度たるみが出来る状態に調整した後で、スイングアームを並行にしてみて、パンパンに張った状態にならないかどうかですね。
大きいバイクであれば、バイク用のジャッキが1つあると色々な整備の際に役立ちます。数年前に400ccのバイクは卒業してしまったので、数年使用していませんが、重宝しますよ。
それでは。
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