ヒューズボックスのヒューズから電源を取り出す際、電源取り出し用のヒューズには差し込む向きが指定されている話を聞くけど、何で向きが指定されているのかよく分からん…。
こんな疑問を持たれる方も少なくありません。
そこでこの記事では、ヒューズから電源を取り出す際、差し込む向きがある理由について解説していきます。電気知識が無い人向けに分かりやすい例えと言葉を使って説明します。
ヒューズ電源に向きが指定されている理由
ヒューズ電源を差し込む際、向きが指定されているのは、ヒューズが飛んでしまうのを防ぐためです。逆向きに差し込んでしまうと、ヒューズが飛んでしまう恐れがあります。
画像と例を用いて、指定された向きでヒューズ電源を差し込んだ場合と、逆向きで差し込んでしまった場合との比較を、分かりやすく図解します。
仮に今回は15Aのヒューズ電源から、ETCを取り付けた例を想定してみます。電源を取り出すヒューズはシガーソケットにしましょう。
- ヒューズ(シガーソケット) 15A
- 元々流れている電流 12A
- ETC 5A
▪️正常な差し方をした場合
電源側からは元々流れていた【12A】とETCで必要になる【5A】を合わせた【17A】が通過しますが、ヒューズのエレメントを通過する前に、【5A】はETCの方へ流れていくため、ヒューズのエレメントを通過する電流は電源を取り出す前と変わらず、【12A】が流れていきます。
※エレメントとは、過電流が流れた際、ヒューズの内部にある切れる部分の名称。
▪️反対向きに差してしまった場合
次に指定された向きとは逆向きで差し込んだ場合は、元々流れていた【12A】の電流に加えて、ETCに必要になる【5A】を合わせた【17A】がエレメントを通過し、それぞれ【12A】と【5A】に分かれて電流が流れていきます。
つまり、ヒューズのエレメント部分に【15A】を超える【17A】の電流が流れてしまっているため、ヒューズのエレメントは切れてしまいます。ヒューズが飛んじゃう。ということです。
これがヒューズ電源を差し込む向きが指定されている理由です。
極論ですが、ヒューズ電源を取る際には、電源側に配線が来るようにして、エレメントを通過する前に追加したい電装パーツに電流を流してやる必要があるのです。
ただ一点だけ注意点があって、指定されている向きでヒューズ電源を取ると、もし配線トラブルが起きても電源を取った側の電装部品には、ヒューズが無い状態になります。
シガーソケット側にはヒューズがあるので問題ありませんが、ETC側には過電流が流れてしまいます…。ヒューズのエレメントを通過する前の電源をETCに拝借していますからね。ヒューズが飛ぼうが、関係無く電流が流れます。
そのため、ヒューズから電源を取る場合は、ヒューズから取り出した配線側に、別のヒューズが取り付けられている電源を使うことをお勧めします。エーモンさんから出るヒューズがそれに該当します。
過電流が配線に流れるのは良いの?
電装パーツをつけた事で、取り付けられている【15A】以上の電流が配線に流れちゃっているけど、そこは問題無いの?騙し騙しヒューズ電源を取るってこと?
確かに取り付けられているヒューズは15Aに対して、ヒューズ前までの配線にはそれを超える電流が流れることになります。ここに関しては、多少多めの電流が流れていても何の問題もありません。
※もちろん、流す電流の限度はアレども…。
そもそもですが、ヒューズは配線を守る前に電装部品を守るための部品です。今回の例でいくと、シガーソケットに15A以上の電流を流してしまわないよに、【15A】のヒューズが取り付けられているということです。
そのため、シガーソケットのヒューズからETC用の電源を取り出し、ヒューズ前を通過する電流が15Aを超える17Aが流れていたとしても問題は無いのです。
まとめ
ヒューズから電源を取り出す際に、ヒューズの向きが指定されている理由は、ヒューズ(エレメント)を通過する前に、電源を貰っておかないと、ヒューズが飛んでしまう可能性があるためです。
そのため、ヒューズから電源を取り出す際には、一度ヒューズを抜いてどっちの電極から電源が来ているかをテスターで確認し、電源側に配線が着くよう、ヒューズ電源を差し込む必要があります。
ヒューズ手前には、電源を取る前より多く電流が流れますが、そこの問題はありませんので大丈夫です。
※1つのヒューズから何個も電源を取っていれば話は別ですが…。
それでは。
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