モンキーのエンジンを組み込み、タペット調整を行っているのですが、タペットクリアランスが狭過ぎる場合、どのようなトラブルが起こりますか?
先日、このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、タペットクリアランスが狭過ぎた場合と広過ぎた場合に起こる症状についてお話ししていきます。
タペットクリランスが狭過ぎるとどうなる?
タペットクリアランスが狭過ぎると、吸気バルブや排気バルブを閉じたい状態になっているのにも関わらず、ロッカーアームがバルブスプリングを押し込んでいる状態になってしまいます。
つまるところ、クリアランスが狭過ぎると、バルブが完全に閉じない状態になり、圧縮漏れが起こり、パワーダウンやエンジン不調の症状に陥ります。
- 圧縮漏れ
- パワーダウン
- エンジン不調
仮に、タペットクリアランスが0の場合、エンジンが冷えている状態では完全にバルブが閉じる状態ですが、少しでもエンジンが温まり、熱膨張が始まると、常にロッカーアームはバルブを押し込んだ状態になってしまいます。
数値で言えばバルブに生まれる数値は、100分の1単位かもしれませんが、致命的です。
エンジンが熱を持った時に熱膨張により金属が膨張し、クリアランスがさらに狭くなることが原因です。
タペット調整はこの熱膨張を想定してのものです。熱膨張した際に、クリアランスを確保するため、絶妙な隙間を空けておいてやるのです。
少し余談ですが、熱膨張の度合いは、吸気バルブよりも排気バルブ側に大きいです。排気側の方が熱を持つためです。そのため、吸気バルブ側よりも排気バルブ側のタペットクリアランスを広く取る場合があります。
タペットクリアランスが広過ぎるとどうなる?
タペットクリアランスを広く取り過ぎた場合は以下のトラブル原因になります。
- タペット音の発生
- リフト量が減る
- バルブタイミングの遅れ
タペットクリアランスを広く取っておけば、バルブが閉まりきらない事態には陥りませんが、ロッカーアームがバルブスプリングを押し込む際に金属音が発生します。一度は耳にしたことがある、タペット音ってやつです。
また、規定数を超えるような数値で極端にクリアランスを取ってしまえば、その分ロッカーアームのリフト量が減ってしまうため、吸気効率や排気効率にも影響を及ぼしかねません。これはパワーダウンに繋がります。クリアランスの度合いによっては、バルブタイミングの遅れも発生します。
場合によっては、タペットのクリアランスを広く取ることで、エンジンの出力を上げる効果を発揮する場合もあります。(あくまでも基準値の範囲内で広く)
エンジンが温まるまで、多少タペット音が発生してしまっても、そこは犠牲にタペットクリアランスを広く取られるユーザーもいらっしゃたりします。
まとめ
タペットクリアランスは広過ぎてもダメだし、狭過ぎてもダメ。
▪️クリアランスが狭いと…
- 圧縮低下
- パワーダウン
- エンジン不調 などなど
▪️クリアランスが広いと…
- タペット音の発生
- ロッカーアームのリフト量減
- バルブタイミングの遅れ などなど
広く取り過ぎた場合でも、狭くし過ぎた場合でもそれぞれ別のデメリットが生じますので、タペット調整はメーカー指定の範囲内で調整するようにしましょう。
規定値はこのように表記されることが大半です。【0.05±0.02】説明は不要かもしれませんが、この場合は【0.03】〜【0.07】の間でクリアランス調整をして下さい。という意味になります。
それでは。
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