トーションビーム式のサスペンション構造は車高を下げると、トーインになると言われたのですが、イマイチ原理というか理屈が分かりません…。
先日、このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、トーションビーム式のサスペンション構造で車高を下げるとトーインになる理由についてなるべく分かりやすく解説していきます。
【トーションビーム】車高を下げるとトーインになる理由
トーションビーム式(アクスル)で車高を下げるとトーインになる理由は、【キャンバー角】が原因です。この角度の頂点がズレることでトー角がズレていきます。
それに加えて、純正車高時のトー角がピッタリ0になっているわけでは無いのも理由の1つです。
- キャンバー角
- トー角
トーションビーム式の車の場合、車高を下げてもキャンバー変化はしないのですが、初めから少しだけキャンバーが付いています。コンパクトカークラスの車で約1度弱、キャンバーがネガティブ方向へ。
プリウスとかね。(ZVW50からはトーションビームでは無くなりましたが…。)
※軽自動車の場合は、ほとんど限りなく0度に近い。
つまり、純正アクスルの状態から、少しだけタイヤがハの字になっているのです。
そうすると、トーションビーム式のサスペンションの場合、車高を下げることによって、キャンバー(角度)の頂点が車体前方側に移動することになります。これが車高を下げるとトーインになる原理です。
- 1枚目の写真 車高を下げる前
- 2枚目の写真 車高を下げた後
マスキングテープを貼ってある場所がキャンバー角の頂点だと思ってください。真上にあったはずのテープは車体前方側に移動していますね。
キャンバーの頂点が前方にズレていくと、トー角はイン側に向いていきます。まだイマイチ理解できない方は、こちらの記事をご覧下さい。もっと解像度を上げて解説しています。
原理は全く同じなので、詳しくはお話ししませんが、元々のトー角もトーインになる原因の1つです。
純正車高の段階で、トー角がピッタリ0には作られていません。仮に0を狙っていたとしても、溶接する際の歪みもあるので、厳密には0にならないと言うのが正しいこともあります。
そうなると、キャンバー角同様に車高を下げることでトー角がイン側に向いていきます。
トーションビームのトー角は調整が出来ない
トーションビーム式の車で車高を下げたことでトーインになり、頭を悩ませれる方も少なく無いと思います。
しかしながら、トーションビーム式のサスペンション構造の場合、車高を下げてズレてしまったトー角を調整することは物理的に不可能です。
1本のシャフトにタイヤが取り付けられるだけの構造なので、調整の余地はありません…。
1つだけ方法があるとすれば、アクスルを加工し自分の仕様にあったスペックのアクスルを使うほかありません。
要するに、現状の車高でトー角が出るような寸法でアクスルを作り直すと言う事です。
お金は掛かりますが、トーインがそこまで気になるぐらいのローダウンであれば、乗り心地の改善も見込めるし、アクスル加工を視野に入れても良い頃合いかと思います。
ワッシャーを挟んでトー角を調整する人もいますが、あまりお勧めはしません。どうしてもトーインが酷くてなんとかしたいと言うのであれば、キャンバープレートのような構造でプレートをどこかでワンオフ製作して貰えば…
まとめ
トーションビーム式のサスペンション構造の場合、車高を下げれば下げただけ、トーインになってしまいます。
これは、元々設定されているキャンバー角・トー角が影響しています。どちらの場合も角度の頂点がズレてしまうことで、トーの変化が起こってしまいます。
トーションビーム式のサスペンションは、車高を下げたりストロークする際には、タイヤが真上ではなく車体前方方向へ、円弧を描きながら足回りが可動するため、どうしようも出来ない事なのです。
どうしても下げ幅的にトー角が気になるのであれば、アクスル加工をお勧めします。
それでは。
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