同じバネレートのスプリングでも、自由長(バネの全長)が変わると、乗り心地に違いが出ると聞いたのですが、本当ですか?
先日、このような質問を頂きました。
バネレートは変えずに、バネの自由長だけ変えて何か変わるのか?同じ硬さのバネなんだから、何も変わらないのでは…?
そこでこの記事では、同じバネレートでも長さ(自由長)を変えると乗り心地が変わるのか?というテーマでお話ししていきます。
同じバネレートでも長さを変えると乗り心地が変わる?
結論、同じバネレートのスプリングでも、長さ(自由長)を変えると乗り心地が変わります。
- バネが短い シャープな動き
- バネが長い マイルドな動き
同じ8キロのバネだったとしても、自由長150ミリと220ミリでは、220ミリの方が体感レートは低く感じることになります。
つまり、スプリングの全長を長くした方が、体感的には乗り心地が良く感じます。
短いバネを選択してやることで、バネの動きが敏感になり体感的にはバネが硬く感じます。
バネの硬さが同じで沈む量(たわむ量)が変わらなくても、バネの動きが変わることで乗り心地に変化が現れます。
乗り心地が変わる理由
バネレートを変えずに全長だけを長くした際、乗り心地が良くなるのは、バネ1巻あたりのたわみ量が少なく済むことが理由です。
少し文面で分かりやすく説明してみると…
バネの自由長が変わっても、同じバネレートの場合、同じ荷重を掛けた際に沈み込むバネ全体のたわみ量は同じです。レート(バネ定数)が同じであれば、たわむ量に変化はありません。
100キロの荷重を掛けると…
- 150ミリ 10K 10ミリ縮む
- 200ミリ 10K 10ミリ縮む
では何が変化するのか?
バネの全長が短くなれば、コイルの巻き数が少なくなります。そうなれば、荷重が掛かった際、1巻あたりのバネが縮み込む量(たわむ量)が大ききくなります。
- 10巻のバネを10ミリ縮めると1巻あたり1ミリ縮む
- 5巻のバネを10ミリ縮めると1巻あたり0.5ミリ縮む
1巻きあたりのたわみ量を大きくすることによって、スプリングが元に戻ろうとする力が大きくなり、反発が強くなります。逆にスプリングを長くする事で、コイルの巻き数を増やし、1巻あたりのたわみ量を減らしてやることによって、スプリングの動きがしなやかになるイメージです。
これがバネレートが同じでも、乗り心地が変化する理由です。
物理的な理論で言えば、ツッコミどころがある説明の仕方かもしれませんが、乗りご心地が変わる理由としては、理解しやすいかと思います。
まとめ
同じバネレートのバネでも自由長が変わると、乗り心地が変わるのは紛れもない事実です。
バネの動き方が変わるので体感的に乗り心地が変化する。という表現が正しいかもしれません。
乗り心地の良し悪しだけの話ではなく、サスペンションの動きが変わる面もあるので、長いバネを好む人(場面)もあるし、短いバネを好む人(場面)もあります。
最終的には、使い手の好みや求めるものによってバネの自由長は選び方が様々です。
もし、乗り心地をマイルドしたい場合であれば、少しでも長いバネを選択すると思い通りの乗り心地に近づきやすくなります。ただし、車高調のストローク幅によっても使えるバネの全長には限界があるので注意です。
それでは。
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