車高調に2つのバネが取り付けられている事がたま〜にあります。ヤフオクなんかで中古品を探していると付いているものが売られている事もしばしば。
よく見かけるけど、『アレってどういう効果があるの?』
中には、『バネの遊びを無くせる!』そこまで知っている人もいるでしょう。しかし、そこから先を知っている人が案外少ないのが現状です。
そこで『ヘルパースプリングはどんな効果があるのか?』『入れるとどうなるのか?』という内容でお話していきます!
合わせて、ヘルパースプリングを使う事で、どれだけ車高が下がるのかを計算する方法も解説します。
ヘルパースプリングとは?
ヘルパースプリングとはメインバネと合わせて使う、メインスプリングよりも柔らかいスプリングです。
【ヘルパー】その名の通り、メインバネの手助けをするバネです。
▪️特徴
- バネレートが低い
- 車重が掛かると完全に密着する
▪️ヘルパースプリングの目的
- 乗り心地の向上
- 車高を下げる
- メインバネを遊ばせない
- 足回りのセッティング
ヘルパースプリングはものにもよりますが、バネレートは『1キロ〜3キロ』程度のもので、力を掛ければ人力で密着させられる程度のバネレートです。
ヘルパースプリングの効果(メリット)
ヘルパースプリングの効果をざっくり挙げると、この4つがあります。
- 乗る心地が良くなる
- 伸び側ストロークの確保
- 車高が下がる
- バネレートが低く感じる
1つずつ順番に解説していきます。
ヘルパースプリングは乗り心地が良くなる
乗り心地が良くなる!という言葉だけを信じてヘルパースプリングを入れる人も少なくないと思います。
これは事実ですが、絶対ではありません。
理由はヘルパースプリングを取り付ける車の状態によって大きく変わってくるためです。
つまり、乗り心地が良くなる人も入れば、対して変わらない人もいるということです。
▪️乗り心地が良くなる条件
- メインバネが遊んでいる
- 伸び側のストロークが不足している
メインバネが遊んでいる状態に、ヘルパースプリングを入れることによって、バネの遊びがなくなり乗り心地が向上するケースが多いです。
また、伸び側のストロークが不足している場合にヘルパースプリングを使う事で、伸び側のストローク確保に繋がり、乗り心地が良くなる場合も多いです。
これは、伸び側ストロークが不足していると、車高調が伸びきってしまい乗り心地が悪化してしまうからです。
車のショックは沈んで伸びてを繰り返す為、乗り心地の良い車を維持するためには、沈む側だけではなく、伸び側にもストローク量がある程度必要になります。
バネレートが高く、伸び側のストロークが少ない車両にヘルパースプリングを入れる事で、伸び側のストロークが確保でき、乗り心地が良くなります。
あの有名な326Powerさんのハイレートセッティングの車高調をみてもらうと、ヘルパースプリングが装着されています。
あれはハイレートのメインバネによって失った伸び側ストロークを確保するためです。
伸び側ストロークの確保
先ほどもお伝えしましたが、ヘルパースプリングを使う事で得られる効果の中には、伸び側ストロークの確保が出来る効果があります。
メインバネに硬いバネレートを選択すると、1G状態でのショックアブソーバーの縮み量は少なくなります。
そこに、バネレートのヘルパースプリングを入れてあげる事で、ショックアブソーバーの縮み量を確保する事が可能になります。
よく車高短のイベントの搬入、搬出で見る片輪が浮いてしまっている車両。
あれが原因で、動けなくなってしまっている車両も多いですよね。
あれは、ハイレートバネが原因で伸び側のストロークが不足してしまっている事が原因です。(全ての原因とは限りませんが。)
伸び側のストロークについてはコチラの記事をご確認下さい。
車高が下がる
メインバネを遊んでいない状態に、ヘルパースプリングを装着する事で車高は低くなります。(絶対に)
これは、2つのバネが取り付けられている場合、レートの低いヘルパースプリングから密着するためです。
メインスプリングのみの場合だったらメインレートのみで全ての車重を受け止めますが、ヘルパースプリングを取り付けた場合、ヘルパースプリングが密着するまでは低いバネレートで車重を受けるためです。
要するに、ヘルパースプリングがショックアブソーバーの縮み量を稼ぐので、車高が下がります。
車高を下げる目的で、ヘルパースプリングを導入している方も多いです。
バネレートが低く感じる
ヘルパースプリングを使う事で、バネレートが柔らかく感じる事があります。これはバネレートが違うバネが2つ取り付けられている状態によって、『合成バネレート』というものが生じるためです。
合成バネレートが適応される瞬間は、メインのバネレートより明らかに低いバネレートが適応さされます。
数字で分かりやすい説明していきます。
- メインスプリング 8キロ
- ヘルパースプリング 2キロ
この場合の合成レートはこのように計算していきます。
(8×2)÷(8+2)=1.6キロ
つまり、本来のメインスプリングしか入れていない時と比べてこれだけのバネレートに変化が起こります。『8キロ』と『1.6キロ』では全然硬さが違いますよね?
そのため、走行中にショックが伸びてまた着地するほんの一瞬だけですが、バネレートが物凄く低くなりバネが沈み始めます。
イメージは、段差でサスペンションが伸びて、着地する瞬間だけクッションの上にダイブする感じです。
これが乗り心地が良くなる理由でもあります。
ヘルパースプリングのデメリット
ここまで、ヘルパースプリングの効果(メリット)を解説してきましたが、デメリットになる場合もあります。
ヘルパースプリングを使う事で、車高調が底付き(バンプタッチ)をしてしまう場合があります。
これは、ヘルパースプリングを使う事で、ショックの縮み量が増える為です。
なので、ヘルパースプリングを購入する前には、必ずショックアブソーバーのストローク幅を計算しておく必要があります。
ストローク量を把握しておけば、自分の車高調にあったヘルパースプリングを購入出来るので、買ってからの失敗を防ぐ事が可能です。
購入前にキチンと把握しておけば、ヘルパースプリングがデメリットになる状況は事前に防げます。
ヘルパースプリングの車高計算
多くの方が気になっている部分でもあると思います。
ヘルパースプリングを使うとどのくらい車高が下がるのか?
ヘルパースプリングを付けた際の【車高変化の計算方法】を、実際に数字を使って紹介していきます。
仮に、1つのショックに500キロの車重を受ける車があるとします。
※車重に関しては車検証に記載がありますので、車検証を確認して下さい。
メインのバネレートは10キロ、ヘルパースプリングは2キロです。ヘルパースプリングのストローク調は30ミリだったとしておきますね。
■メインバネのみ
- 500÷10=50ミリ(バネの縮み量)
■ヘルパースプリング装着時
- 2×30=60キロ (ヘルパーが受ける車重)
- 500−60=460キロ(メインが受ける車重)
- 460÷10=46ミリ沈む(メインバネの縮み量)
ヘルパースプリングは2キロのバネレートで30ミリ縮むため、500キロの荷重のうち60キロを受け止めてくれます。
残りの460キロをメインスプリングが受け止めるため上記のような計算方法になります。
結論、合計76ミリ沈むため、メインバネのみの時と比べると(76−50=26)26ミリ車高が下がる事が分かります。
※実際にのところは、メインとヘルパーが同時に縮まるので多少数値が正確ではありませんが…。
このような計算で、ヘルパースプリングを取り付けた後、どのくらい車高が下がるのかを計算によって検討をつける事が可能です。
バネレートによる車高変化について詳しく書いた記事がありますので、気になる方はコチラもチェックしてみて下さい。
おすすめのヘルパースプリング
ヘルパースプリングを取り付けよう!と思ってもいざ、どこのメーカーのものを購入したら良いのか分からない…
と言う方も多いです。
そんな方に向けたおすすめメーカーについて解説した記事を貼っておきます。
- 自由長は?
- バネレートは?
合わせてヘルパースプリングの選び方についても解説しています。
取り付けの際迷う、上下どちらに入れるべきか?この内容はコチラの記事で解説しています。
まとめ
正しい使い方をする事で、自分の目的に合った効果を発揮出来るのが、ヘルパースプリングです。
もちろん、サーキット走行などのセッティング云々の話もありますが、ここでは街乗りユーザーに分かりやすくヘルパースプリングの効果について解説しました。
メインスプリングだけでは表現出来ない『見た目や性能』を生み出すパーツの1つですね。取り付け前に役割や性能を理解した上で、取り付けるかどうかを考えてみて下さいね。
現状でスプリングに遊びのある方は是非使ってみて下さいね。
それでは。
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