これからモンキーをボアアップしようと思っているのですが、武川のスカット106を組むかロングクランクシャフト導入で106ccにするか迷っています…。どちらがお勧めですか?もしあれば教えて下さい。
先日、このような質問を頂きました。
そこでこの記事では、モンキー系の横型エンジンをボアアップする際に、スカット106とロングクランク導入はどっちがお勧めなのか?というテーマでお話ししていきます。
それぞれのメリットやデメリットについてお話しするので、自分が何を求めるかを最終的な決定打にした方が良いと思います。
スカット106とロングクランクのメリット
結論から先にお伝えしておくと、どっちかが絶対に良くてどっちかが絶対に悪いという明確な答えはありません。それぞれのメリットやデメリットを把握した上で、自分にどっちが合っているかを選択することをお勧めします。
▪️スカット106のメリット
- クランクケースを分解せずに組み付けられる
- ピストンのフリクションロスが抑えられる
スカット106の売りは、クランクシャフトを交換せずに100ccオーバーに組み付ける唯一の方法です。(50ccエンジンの場合。)そのため、組み付けコストが安く106ccに出来るのが最大のメリットになります。
※武川さん以外に、シリンダーとピストン、シリンダーヘッドだけの交換で排気量が100ccを超えるボアアップキットは存在しません。
また、ピストンスカートの全長が88ccピストン(52パイ)よりも極端に短いため、フリクションロスの軽減(ピストンが上下運動する際の摩擦が減る)が出来るのもメリットの1つです。
※ピストンを横から見た際に、ピストンの全長がスカット106用の方が短い。
※この画像は52パイ(88cc用)ピストン
つまるところ、レスポンスの向上が見込めます。
▪️ロングクランクのメリット
- クランクシャフトが新品になる
- スカット106よりも耐久性に優る
- クランクシャフトの軽量化になる
全てのメーカーでクランクシャフト重量が純正よりも軽くなるわけではありませんが、社外品(国産メーカー)のロングクランクシャフトは、純正品の重量よりも軽く作られているケースが多いです。
そのため、当然レスポンスが向上します。
僕自身、1号機のダックスにはロングクランクシャフトを導入して排気量を100ccに乗せましたが、オーバーホールも一緒に行いたい気持ちがあったのと、クランクシャフトを一新したかった理由からロングクランクシャフトを選択しました。その2つが無ければ、スカット106を組み付けていたと思います。
スカット106とロングクランク導入はどっちがお勧めなのか?
あくまでも個人的な意見ですが、スカット106とロングクランク導入それぞれ向いているユーザーの特徴を簡単にピックアップしてみました。
▪️スカット106が向いている
- 気軽にボアアップキットを組み付けたい
- クランクシャフトの状態が良い(最近交換している人とかね。)
- 乗る頻度はそれほど多くない
▪️ロングクランクが向いている
- 腰下も分解してOHする
- 乗る頻度が多い
- クランクシャフトを一新したい
※OH=オーバーホール
あくまでも個人的な主観が強いので、鵜呑みにするというよりも、1つの参考程度にしてもらえると助かります。
スカット106ccの方が耐久性が劣ると言われていますが、周りにスカット106ccを組んでいる先輩もいましたし、ちょこちょこ出入りしているショップ(4miniを良く作っている車屋さんというかバイク屋さんというか…。)ではスカット106ccもよく組むそうですが、これといった大きなトラブルは発生したことがないとのことです。
レスポンスの良し悪しに対する考えについては色々ありますが、正直なところどっちも変わらないと言うのが結論です。
まとめ
スカット106ccのキットを組み付けるか、88ccの腰上にロングクランクシャフトを組み付け106ccにするかは、人によってこっちが良いよ〜。あっちが良いよ〜。と色々な意見に分かれる点ではありますが、個人的にはどちらを使用してもこれといった問題は発生しないと思います。
実際にそれぞれの方法でボアアップしている人が周りにいましたが、これといった差(レスポンスやトルク)は生まれないのが事実です。
正確にはどっちの方がレスポンスが良くて、トルクがあってみたいな事実はあるかと思いますが、大した差ではないのは事実です。好きな方(自分に合った)を選択してボアアップしてやれば良いと思います。
強いて言うなら、スカット106ccのキットよりも、88ccの腰上にロングクランクシャフトを組み合わせたエンジンの方が圧縮は高い印象を受けます。(数値的な比較ではなく、それぞれのエンジンのキックスタートした際の感覚的問題です。)
それでは。
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