トーションビーム式の車に車高調を取り付けたいんだけど、イマイチ交換方法がよく分からない…。
なぜかトーションビーム式の車高調取り付けが難しいと感じるユーザーがいらっしゃるみたいですが、ストラットやマルチリンク等と難易度は変わりません。
そこでこの記事では、トーションビーム式(アクスル、フォーシング)の車に車高調を取り付ける方法とコツについてお話ししてきます。
軽自動車からコンパクト、ミニバン等全ての車に共通して使える情報です。取り付け方法に加えて、作業中のコツについてもちょこちょこお伝えしていきます。
必ず両輪をジャッキアップする
基本的にはどんなサスペンション構造であっても、両輪をジャッキアップが必要ですが、特にトーションビーム式のサスペンションの場合は、両輪のジャッキアップが必要不可欠です。
ストラット等であれば、片輪づつでも交換出来ないことは無いですが、トーションビーム式の場合は両側のショックアブソーバーが連結しているため、両輪のジャッキアップが必須です。
ジャッキアップし、リジットラックを使用し両ショックアブソーバーを同時に触れる状況にしてから作業する必要があります。
ジャッキアップやリジットラックの掛け方については、こちらの記事をご覧下さい。
トーションビーム式の車高調取り付け方法とコツ
トーションビーム式の車に車高調を取り付ける際には、以下の手順で作業していきます。
- ショックの下側を固定するボルトを抜く
- スプリングを外す
- ショックの上側を外す
- 車高調のスプリングを乗せる
- 車高調の上側を先に固定する
- 車高調の下側を固定する
順番に解説してきます。
ショックの下側を固定するボルトを抜く
まず始めにやる作業は、ショックアブソーバーの下側を固定するボルトを緩めてやることです。
左右のボルトを同時に緩めて、ナットまで外しておきます。
ナットが左右外せたら、アクスルにジャッキを当てがい、気持ちジャッキをストロークさせ、アクスルを持ち上げてやります。持ち上げると言うより、アクスルの重量分をジャッキで支えるイメージです。
よく、ボルトが抜けずに叩いて外そうとする人を見かけることがありますが、この時ボルトがスムーズに抜けない理由は、アクスルの自重によってボルトに負荷が掛かっているため。
そのため、アクスルの自重分、ジャッキで持ち上げてやれば、ボルトはいとも簡単に外すことが可能です。
ボルトがスムーズに抜ける高さを探りながら、ジャッキのストローク量を調整してやりましょう。
アクスルの中心にジャッキを掛ければ、一発で両側のボルトがスムーズに抜くことが可能です。もし片側はスムーズに抜けるけど、反対側がスムーズに抜けない場合は、片側を先に外し、もう一度ジャッキのストローク量を調整し、ボルトがスムーズに抜ける高さを探ればOKです。
スプリングを外す
ショックの下側を固定するボルトが抜けたら、アクスルに掛けていたジャッキをどかしてやると、スプリングが外せます。
下側を解放してやることで、アクスルが下に垂れ下がりスプリングに掛かっていたテンションがフリーになりますからね。
車種によってはそれだけでは、スプリングが上手く外せない場合もあります。そのような時には、アクスル(ドラム部分)を足で少し押し下げてやりながら、スプリングを外すとスムーズです。
純正のスプリングと車高調側のスプリングを比較すると良くわかりますが、純正のバネはかなり自由調が長いため少しアクスルと下に押し下げないと外せないケースが多いです。
中に簡単に取れてしまう車もありますが…。
ショックの上側を外す
ショックの下側を外し、スプリングも外せたらあとは上側を固定するナットを外して、ショックアブソーバーを取り外していきます。
ショックアブソーバーの上側を固定するボルトやナットは、室内に貫通してナットで固定される車もあれば、タイヤハウス内にあるコの字のステーに挟まれボルトナットで固定されるケースの2パターンあります。
2つ目のパターンは、下側と同じように固定されているケースですね。
ここだけは車種ごとによってなので、自分の車がどっちの固定方法か確認してみて下さい。
室内から固定してある車の場合、中の内張にサービスホールが用意されているケースが多いです。
画像のようにシャフトの内側に六角レンチが刺さるので、供回りを阻止しながらナットを緩めます。
もし室内側から固定されている車の場合、ここのナットを外すと同時にショックが地面に落ちてしまいます。それを阻止するために、ショックアブソーバーの下側にジャッキを掛けておいてから、ナットを外せばアブソーバーを落とさずに済みます。
※画像はトーションビーム式のサスペンションでは無いけども…。
軽自動車ぐらいであれば、室内で作業しつつ、片側の手をタイヤハウスに伸ばせばアブソーバーに手が届く場合もありますが、コンパクトカーやミニバンではかなりきついと思います。
車高調のスプリングを乗せる
純正のスプリングとショックアブソーバーが無事外せたら、次にスプリングとアジャスターをアクスルの上に乗せてやります。
この時、アジャスターの長さを左右均等に調整しておいてから、乗せてやるとスムーズです。
アジャスターはただ乗せるだけの車もあれば、ボルトナットでアクスルに固定する場合もあります。
車高調の上側を先に固定する
アクスルの上にバネを置いたら、車高調の上側を固定しておきます。
この時、車高調の全長は気持ち短めに調整しておくとあとの作業性が良いと思います。
僕自身が作業する際には、実際取り付ける長さよりも短めにして取り付けます。(実際の長さは付けてみないと分からないので、経験則からの調整ですが…。)
手順だと先にスプリングを乗せていますが、スプリングを乗せるタイミングと車高調の上側を固定するタイミングは前後しても問題ありません。
車高調の下側を固定する
スプリングを置いて、車高調の上側を固定したら最後に下側を固定してやります。この時、車高調の全長に困るユーザーが多いみたいです。
まずは、アクスルの中心にジャッキを掛けて、スプリングが車体側とアクスルに挟まれ動かなくなる程度まで、アクスルを持ち上げてやります。
この時、スプリングは上下には動かないけど、手で回すと少し動くぐらいに調整してやると良いと思います。(ほぼプリロードが無い状態です。初期たわみってやつです。)
この状態を作れたら、車高調のシェルケースを回してアクスルの穴位置と車高調の下側を固定する穴位置がぴったり合うところに来るまで、車高調を伸ばし続けてやるだけです。
この時もボルトを抜いた時同様に、ボルトがスムーズに入る高さに車高調の全長を調整してから、ボルトを通します。ボルトを叩かないと入らないようでは、車高調の全長が上手く決め切れていない証拠です。
先ほど車高調を取り付ける際に、短めに調整しておく。とお伝えした理由は、この最後の調整時に上から車高調を落とすように取り付けするためです。
多くのアクスルは、ショックが上にしか引き抜けないような形状になっていることが多いです。つまり、取り付け部分の上側から車高調を入れる必要があるのです。
長い状態からでも、ショックアブソーバーは縮まるので取り付け出来るのですが、縮めてショックを組もうとすると、ショックが縮まった状態でボルトを通していることに気が付かず、バネが遊ぶ原因にも繋がります。
車高調取り付けに慣れている人なら、多分そんなことにはならないと思いますが…。
これでトーションビーム式の車高調取り付けが完了です。
最後に下側の固定ボルトを通して、ボルトナットを締め込んだら、アクスルの油圧を抜いてバネの遊びが無いかを確認することも忘れずに。
まとめ
トーションビーム式の車に車高調を取り付ける際には、以下の手順で作業可能です。
- ショックの下側を固定するボルトを抜く
- スプリングを外す
- ショックの上側を外す
- 車高調のスプリングを乗せる
- 車高調の上側を先に固定する
- 車高調の下側を固定する
基本的に、軽自動車であろうがコンパクトカーであろうがトーションビーム式のサスペンション構造であれば、車高調の取り付け方法は全く同じです。
もちろん、ミニバンも同じです。
これからトーションビーム式の車に車高調を取り付けするユーザーの参考になれば幸いです。
それでは。
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